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2010年10月25日 (月)

門番を超えた雷鳥

JFL 後期第12節 @都田
Honda FC 0-3 松本山雅FC
[得点者]
5・50分石田、89分今井(松本)

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後期初戦こそFC琉球に敗れたが、それ以降10戦負けなしで完全に波に乗った松本山雅。前期終了時点では勝ち点21で13位だった順位も、一気に急上昇して現在は5位。J入会予備審査では一部未達項目があったものの、入会への大きな障害にはならず、4位以内に入れば悲願達成が濃厚となってきた。

そして迎えた4位のHonda FC戦は、山雅の成長が大きく読み取れる試合となる。

相変わらず、ケガ人も多く万全のメンバーが組めないながらも、4位に着けているHonda FC。しかし、鈴木弘大は登録外で、エース新田もベンチスタートと苦しいメンバー構成が続いており、メンバー表上では柴田もFWとなっていたが、実質的には4-4-2でスタート。

[Hondaスタメン]
ーーー吉村ー伊賀ーーー
ー土屋ーーーーー柴田ー
ーーー糸数ー安部ーーー
中川ー川嶋ー石井ー桶田
ーーーー中村元ーーーー

[山雅スタメン]
ーーー小林ー石田ーーー
ー大西ーーーーー木村ー
ーーー本田ー弦巻ーーー
鐵戸ー須藤ー飯田ー玉林
ーーーー石川ーーーーー

対する山雅だが、好調を維持していることもあり、前節と同じメンバーで挑んできた。また、相手のやり方を熟知する吉澤監督は「Hondaがスロースターターであるので、最初から仕掛けて先制点を奪って試合を自分たちのものにしよう」と指示して選手を送り出したのだった。

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そして、監督の指示通りにキックオフから攻撃を仕掛ける山雅。早くも5分にCKのチャンスを得るが、最初のボールはGKの中村がパンチングでクリア。しかし、山雅はセカンドボールを早い出足で奪うと右サイドに展開。ボールを受けた木村が冷静に持ち込んで中にクロスを入れると、石田がドンピシャのタイミングで合わせて山雅が先制。

いきなりの先制パンチを浴びたHondaはまったくペースを奪え返せず、その後も山雅ペースで試合は進んでいく。Hondaは山雅の右対策に中川を入れて来たのだが、マッチアップする玉林に圧倒され、自陣に釘付け。FWの吉村と伊賀も孤立して、何もやらせてもらえない。

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そんな相手をよそに、山雅2トップは「これでもか!」とシュートを浴びせ続ける。しかし、石井、川嶋の厳しい寄せと、中村の好セーブもあり、得点の決まったファーストシュート以降に放った10本のシュートはゴールに決まらない。

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誰がどう見ても山雅のペースで進んだ前半戦。Hondaとしては「2点目」を奪われなかったことだけは光明だったが、攻撃では何一ついいところがなかった。果たして後半に向けてどう策を打ってくるのか注目されたが、大久保監督はハーフタイムで早くも2枚のカードを切ってくる。

[Honda後半]
吉村ーーー伊賀ーーー細貝
ーーー土屋ーー柴田ーーー
ーーーーー安部ーーーーー
小栗ー川嶋ーー石井ー桶田
ーーーーー中村ーーーーー

細貝を投入し、3トップにして、中盤は安部のワンボランチ。さらに、攻撃的SBの小栗も入れて勝負に出てきたHonda FC。

後半開始直後、吉村がボールを受けそのままドリブルで突進。山雅DFにPA内で倒されたが、判定はノーファール。さらにこのボールがそのままカウンターに繋がり、石田がシュートまで持ち込む。

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3トップのワンボランチと、攻撃的に出てきたHonda FCだが、攻めているときはいいのだが、ひとたび守備に回ったときには裏のスペースは完全に手薄となる。相手にスペースを突かせないためにも、攻撃はシュートで終わりたい所なのだが、実際は思惑通りには進まないもので、後半開始早々から「諸刃の剣」ぶりを露呈してしまう。

5分にもチャンスを掴んだHondaだが、クリアボール1本から石田がディフェンスラインの裏を抜け出し、山雅が理想的な時間帯、そして展開から追加点を奪う。

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残された時間はまだ40分あるとはいえ、2点のビハインドは非常に厳しいもの。まずは1点を返して波に乗りたいところであったが、山雅の飯田、須藤のCBコンビが小栗、桶田からのクロスをことごとく跳ね返してピンチを防いでいく。その後も攻め続けるHondaだが、素速いプレスを仕掛けてくる山雅ディフェンスの前に手を焼き、効果的な攻撃を仕掛けられない。

すると試合終了間際の89分、途中交代で入った今井がロングフィード1本で裏に抜け出し、カウンターから試合を決める3点目を奪って見せた。

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0-3


門番と呼ばれ、Jを目指すチームにとって、大きな壁となっていたHonda FCが、吉澤山雅のゲームプランの前に完敗を喫したのであった…

「相手はスロースターターなので、最初から勝負して、前半はとにかく積極的に行こう。そこで点が取れ、さらに無失点で前半を折り返せれば、相手は攻撃的に出てくるから、後半はその裏のスペースを突いていこう」

さすがに、かつてHonda FCを率いていた監督であり、この日、ピッチに立っていた半数以上の選手を熟知していたこともあり、相手の選手がどんなサッカーをするか? どんなタイプの選手なのかという部分を、しっかり選手に伝え、的確な指示を送っていた。

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さらに、選手たちのモチベーションの高さも特筆すべきであろう。

「選手たちは、目標(J昇格)に向けて、ここ最近は『やらなくちゃ』という意識を自分たちで高めていますし、試合だけではなく練習でも緊張感を持続出来るようになっています。順位はまだ5位で、何一つ状況は変わっていません。しかし、残り試合(5試合)で全力をしっかり出せるように、選手は準備してくれると思います」

前期の山雅は、良くも悪くも「北信越時代」とは大きく変わってはいなかった。シーズン当初は、連携部分で不安があり、どうしてもこれまでのメンバーに頼る部分も大きかったが、後半に入って新戦力が成長し、チームとしても熟成したことにより、驚異的な追い上げを見せてきている。

後期だけの順位で見れば、山雅は8勝3分1敗(27pt、+12)で、鳥取の10勝1分1敗(31pt、+14)に続く2位をキープ。Honda FC時代に優勝をJFL経験した吉澤監督の戦略は、まさに「あの時のHonda」と変わりはない。さすがに、優勝経験監督は、どうやれば「勝ちきれるのか」をよく知っている。短期決戦を余儀なくされる地域リーグとは違い、長丁場でチームを立て直すことも出来るJFLでは、その手腕を遺憾なく発揮出来ている。

他力本願とはいえ、完全に「4位」が射程距離に入ってきた松本山雅。しかし、残り5試合には、町田ゼルビア、ガイナーレ鳥取という上位に位置するチームとの対戦が残されている。JFLをスッキリ卒業できるようにするためにも、残り試合を昨年経験した全社のように、「負けたら終わり」のつもりで戦えれば、奇跡をたぐり寄せることも可能なはず。

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すでに優勝はガイナーレ鳥取で決まってしまったが、4位を巡る攻防は最後まで目を離せな状態になった今年のJFL。一戦必勝の山雅にとって、気の抜けない戦いはラストまで続く…

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