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2010年10月27日 (水)

鳥取の優勝と上位争いの行方

今年のJFLも残り5節のみとなり、大詰めを迎えているが、すでに後期10節でJ昇格(4位以内)を確定させたガイナーレ鳥取が、後期12節で初優勝も決めた。

JFL10年目の鳥取は、今年こそ「節目の年」にするために、元日本代表MF服部年宏や経験豊富な喜多靖、小針清允などのベテラン選手を積極的に獲得し、戦力を充実させてシーズン序盤から独走。また、チームを長らく指導してきたヴィタヤ・ラオハクル氏がシーズン前に起こった不慮の事故により、チームを離れざるを得なくなったことも鳥取を大きく変えた一因となる。

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ヴィタヤ前監督の交通事故により、クラブは急遽元東京ヴェルディ監督の松田岳夫を招聘。これまでの鳥取は、シーズン序盤はいい戦いをするのだが、毎年のように後半は失速。さらに1試合を通じても、後半にペースダウンしてしまう勝負弱さを見せていたが松田監督就任後、前半悪くても堪えることが出来るようになり、後半はしっかり立て直しが出来る堅実なチームに生まれ変わる。

そしてJFL史上最短(残り5試合)優勝という、おまけまでつけてJ昇格に花を添えた。クラブチーム(J入会を目指すチーム)の優勝としては、2005年の愛媛FC以来の5年ぶりであり、ここ数年続いてきたHonda FC、SAGAWA SHIGAの「2大門番体制」を、やっと突き破った格好になった。

10年目にして、悲願のJリーグ昇格を決めた鳥取だが、今はまだ喜びのさなかであろうが、この先は非常に厳しい戦いが予想される。ベテランを揃え「経験の差」でJFLは勝ち抜いてきたが、J2で戦うには平均年齢が高すぎであり、スタミナ面での不安を感じるところ。残された試合で、地元出身の住田貴彦(大分からのレンタルだが…)を含めた若手選手が、来季に向けてどんな形で「可能性」を見せてくれるだろうか?

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JFL優勝が決まり、あとは正式な「J入会決定報告」を待つだけの鳥取だが、残された試合では「来季を見据えた戦い」を是非とも見せて欲しいところ。

さて、優勝がすでに決まってしまったので、残すところの注目はやはり「4位」を巡る攻防と、残留争いであろう。

9月に入って、町田、長崎が相次いで入会予備審査における不備があったことを認め、今年度のJ昇格を見送るコメントを発表。これにより、今年の昇格の可能性があるのは鳥取と松本山雅の2チームだけに絞られていたが、すでに鳥取は優勝を決めたため、あとは山雅の動向が注目となっていくはず。

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山雅は前期こそ13位と大きく出遅れ、今年の昇格は無理かと思われた。しかし、後期に入って驚異的な追い上げを見せ、一気に順位を5位まで上げてきた。Honda時代に優勝を成し遂げた吉澤監督は、あのときと同じく、堅守速攻という堅実かつ、最も勝ち点を積み重ねやすいシステムをチームにしっかり根付かせた。さらに、短期決戦の地域リーグとは違い、じっくりチームを立て直せるJFLでは、序盤こそ、これまで「選手たち」を使ってきたが、中盤以降、玉林睦実、本田真吾が大きく成長し、終盤に入ってからは弦巻、飯田といった選手が完全にフィットして、チームは大きく飛躍。

順位こそ5位だが、得失点差で4位のHonda FCを上回り、残り5試合での逆転も現実味を帯びてきた。

また、J準会員ながらも、順位に関係なく昇格見送りとなってしまった町田と長崎も、気落ちすることなくリーグを戦い続けている。どちらのチームにしても、「最終的に4位以内に入って、実力は問題なかった」ということを証明して、今年のリーグ戦を終わらせる必要があるからだ。

4位以内で終えることが出来なければ、来季以降もサポーターや団体、企業がチームに対して変わらない熱い(厚い)支援を続けてくれるのだろうか? より一層の支援を得るためにも、目標の場所にたどり着けなくともチームは結果を出し続ける必要はあるし、それにより多くの人の心が動くというもの。特に6位の長崎は、ラスト5試合の相手がHonda FCを除けばすべて下位が相手と言うこともあり、Hondaも山雅も追い抜き、逆転で4位で終えることも可能だ。

発展途上のチームであり、置かれている状況は厳しいが、だからこそ、やりがいを感じて長崎の監督の就任した佐野達には、来期以降は監督としてだけではなく、チームを統括するマネージャー的役割も求められることになるだろう(あくまでも来季も続投することが前提だが)。そう、かつての「上司」である、植木繁晴のように…

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この他には、門番と呼ばれてきた、企業クラブの2大巨頭である、Honda FC、SAGAWA SHIGA FCの両チームも、3位、4位と、決して満足出来ない順位ながらも、上位をしっかりキープしている。しかし、ここ数試合は苦戦が続いており、この順位をキープするのやや苦しいところか。また、将来的なJリーグ入りを目指している秋田も、ここまで粘り強く上位戦線に絡み続けている。


[参考データ:後期成績だけの順位表(12節終了時点)]
鳥取:10勝1分1敗(31pt、+14)
松本:8勝3分1敗(27pt、+12)
本田:8勝4敗(24pt、+6)
町田:7勝1分4敗(22pt、+10)
長崎:6勝4分2敗(22pt、+5)
佐川:6勝2分4敗(20pt、+14)
秋田:5勝3分4敗(18pt、+3)
ロック:5勝3分4敗(18pt、-1)
琉球:5勝1分6敗(16pt、-1、17得点)
印刷:5勝1分6敗(16pt、-1、16得点)
びわこ:4勝3分5敗(15pt、-1、15得点)
金沢:4勝3分5敗(15pt、-1、11得点)
仙台:4勝2分6敗(14pt、-6)
横河:3勝3分6敗(12pt、-5)
ジェフ:3勝3分6敗(12pt、-7)
流経:3勝1分8敗(10pt、-8)
高崎:1勝4分7敗(7pt、-7)
栃木:4分8敗(4pt、-17)


とりあえず、ラスト5試合の上位チームの対戦カードはこのようになっている。

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どこが有利かということは一概には言えないのだが、客観的に残りの対戦相手を見ると、下位との対戦が続くHonda、長崎、秋田が有利に見えるのだが、Hondaと長崎は第14節で直接対決となり、ここで長崎が勝利すれば間接的に「山雅」を援護射撃することにもなる。後期2節以降負けのない山雅だが、ラスト5試合にはホームながらも町田、鳥取の対戦が残されており、最終節はアウェーでソニー仙台と対戦。カード的に厳しい相手が最後に残ってしまったが、これを乗り越えなければ雷鳥が目指す「頂」は見えてこないはず。

最後に残された「最終試験」で山雅は「一発合格」を勝ち取れるだろうか? それとも、長崎が意地を見せるのか? はたまた、Hondaが4位以内をキープして逃げ切るのか? 終盤になって、やや調子を落とし気味のSAGAWAがどこまで踏ん張れるのか?

優勝は決まってしまったが、2位〜4位を巡る攻防は、現在7位の長崎を含めた6チームで最後まで争われそうである。


最後に、残留争いに関してはまだ別の機会で。

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