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2010年10月23日 (土)

見えなかった「鈴木カラー」

またも「男」になれなかった長野パルセイロ…

天皇杯長野県予選の決勝で、松本山雅に敗れた際に薩川監督は「やっぱりね、やる試合は相手とか、カテゴリーに関係なく、絶対勝ちたいよね」と語り、敗れたことに悔しさをにじませていた。そして9月19日の北信越リーグ最終戦後、地域決勝で勝ち抜くことが絶対目標であるが、その前に行われる全社も本気で優勝を狙いに行くと宣言していた。

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そしてその言葉どおり、初戦からガチ本気メンバーを並べ続けてきた長野。大会初戦は九州王者のHOYOが相手と言うこともあり、本番を意識した戦いとなったが、予想以上に相手を圧倒して危なげなく勝利。

しかし、2回戦からは苦戦の連続となってしまう。ラランジャ戦、新日鐵大分戦、福島ユナイテッド戦では80分(全社は40分ハーフ)間で勝負を決められず、3戦連続で延長戦に突入することとなる。しかし、最後は地力の差で相手を退けて決勝までたどり着いたが、決勝戦では長野が「最も苦手とするスタイル」の前にまたも敗れ去ってしまった。

そう、守備をガッチリ固めてカウンターというやり方に…

正直、「5連戦だから」「延長戦が続いた」「選手の疲労がハンパではなかった」は、すべて言い訳である。

準々決勝を勝ち抜いた時点で、今の大会レギュレーションでは勝ち残ったチーム、全てが5連戦となることは決まっているのだから、条件はほぼ同じなはず。そして延長で体力を消耗させてしまったのは、勝ちきれなかった自分たちの甘さから来たものだ。

決勝を含めた5試合すべてで、長野は自分たちらしい、しっかりパスを繋ぐサッカーで試合の主導権を握っていた。しかし、いくらポゼッションを高めてペースを握ったからと言っても、点を奪えなければ試合に勝てる訳はない。

3回戦までは、対戦相手には大変失礼だが、実力(地力)ではどのチームも長野より下と見るのが妥当であり、この差が勝敗を分けてきた。そして準々決勝では、大会での「ノルマ(地域決勝出場権獲得)」を果たし、すでに精根尽きていた福島が相手ということで、こちらも最後は勝ちきることが出来た。しかし、同等の力を持ち、モチベーションも高い相手との対戦となった決勝のカマタマーレ讃岐戦では、勝ちきることが出来なかった。

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確かに、決勝でもポゼッションは出来ていたが、それは相手の術中にはめられただけの話であり、ゴールから遠い位置で「持たされていた」だけのこと。北信越や、全社準決勝までは、「個」の力で引いた相手を打ち破ることが出来たが、決勝の相手はそうはいかなかった。さらに、讃岐は長野のキーマンを宇野沢と読み、これの対応策をしっかり練ってきていたのだ。

薩川監督は、相手がどんなチームであろうが、自分たちのスタイルを変えずに試合に挑んでいた。これに対して優勝した讃岐を含めて、どのチームも長野対策をしっかり練り、これが効を奏して長野はどの試合でも苦戦することとなってしまった。

長野は準優勝という結果は残した。しかし、準決勝まで4試合で80分内で勝利したの初戦だけなのである。それ以外の3試合はすべて延長戦での勝利であり、この大会では延長戦があったからこそ、決勝までたどり着いたが、地域決勝では時間内に決着を付けられなければ、即PK戦に突入となり、勝敗を分けるのは地力ではなく「運」に左右されてきてしまう。

そして今大会の長野は、初戦から決勝まで「出し惜しみ」することなく、ベストメンバーから、控えの戦力まで全てをさらけ出したのだが、これで優勝していれば「どうだ、強いだろう!」と胸を張れたのであろう。だが、決勝に行くまで苦戦の連続で、決勝では「完敗」まで喫してしてしまい、ライバルたちに「長野とはこう戦えばいい」というのを知らしめる結果になってしまった。

バドゥ遺産を引き継ぎ、魅力ある攻撃サッカーの理想を追い求めた薩川パルセイロ。だが、その理想だけでは不安を感じ、薩川監督自身も信頼できる「ヘッドコーチ格」の存在を求めたことで、8月末から鈴木政一氏を強化部長に招聘し、1ヶ月間のトレーニングを経てこの大会に挑んできたのだが、残念なが「鈴木カラー」はあまり見えなかった。

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鈴木氏を招聘したからといって、長野がいきなりリアクションサッカーに変わろうとしているのではない。これまでの攻撃的な姿勢をベースに、鈴木氏が求める「連動」「バランス」「考えたプレー」を進化させ、チームをより高いレベルに仕上げたいという目的があった。この3点で進化が出来れば、相手がいかに引いてきても、勝ちきれるという思惑はあったのだが、連戦の中でチームは大事なことを完全に忘れ去っていた。

長野に残された時間はあと1ヶ月しかない。残された時間で新しい戦術をチームに植え付けることは難しい。であるならば、短期間で長野を変貌させる手段としては、選手に「全社の屈辱」を絶対に忘れさせないことがまず挙げられるだろう。

そして、宇野沢、要田に頼るのではなく、平石、藤田、麻生、武藤といった控えアタッカー陣の奮起がなければ好転していかない。また、守備に関しては過去に採用していた3バックへの回帰もあり得ることを薩川監督は示唆。あとは、鈴木部長が「長野の福西になれ」と期待を込める大橋が、残りの1ヶ月でどこまで成長できるかに懸かって来るだろう。

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今度こそ「ラストチャンス」となるかも知れない長野。
この屈辱をバネにして、勝負弱いところを克服し、今度こそ「男」になれるよう奮起してもらいたいところである。

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