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2010年9月22日 (水)

鈴木政一、パルセイロを変えられるか?

北信越リーグ第14節 @南長野総合球技場
AC長野パルセイロ 1-1 JAPANサッカーカレッジ
[得点者]
11分藤田(長野)、87分武士俣(JSC)
※長野パルセイロが12勝2分(勝ち点38)で2年ぶり4回目の優勝

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試合を振り返る前に、まず最終節前の両チームの成績を再確認

1位:パルセイロ 12勝1分 勝ち点37 得失点差+64
2位:JSC 11勝1分1敗 勝ち点34 得失点差+38 

ということで、JSCにも「数字上」優勝の可能性は残されていたが、逆転するには14点差以上をつけて勝つしかないという、到底不可能と思える条件しか残されてはおらず、パルセイロは特に緊張することなく、この日の「優勝決定戦」を迎えた。

しかしだ、今年の北信越リーグに松本山雅やツエーゲン金沢はいない。そして、唯一のライバルとなるはずのJSCも、例年に比べて強化費用が減ったことで戦力は弱体。当初から「優勝は当たり前」であり、その勝ち方の内容が焦点となっていたのだが…

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さて試合だが、パルセイロはキャプテンの土橋が出場停止で、さらに諏訪、籾谷、栗原といった、レギュラーと思える選手を控えに置く布陣で試合に挑んできた。

[パルセイロスタメン]
ーーー要田ー藤田ーーー
ー佐藤ーーーー宇野沢ー
ーーー大橋ー塚本ーーー
高野ー本城ー大島ー野澤
ーーーー海野ーーーーー

この起用については、土橋が出場停止と言うこともあり、連戦が続く全社、地域決勝を睨んで敢えてこのメンバーを組んできた薩川監督。確かにこれらの大会は、レギュラー11人の力だけではなく、チーム全体の総合力が問われることになるから、このメンバーでしっかりJSCに勝てるところを証明しておきたかったのだが…

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パルセイロのキックオフで試合は始まるが、いきなりボールを奪われてCKのピンチを迎えてしまう。しかし、ここは大島がクリアして難を逃れるのだが、その後も守勢に回ってしまう。JSCボランチコンビである澤田・小川の動きが良く、次々とセカンドボールを拾ってはサイドに展開する流れが続き、ゲームの流れを掴めないパルセイロは、なかなか攻撃の形を組み立てられない。

しかし11分、トップの要田にボールが入ると、素速く左サイドに展開。大典がタテに突破し、敵陣深く進入すると逆サイドへクロス。これを藤田が合わせ、流れの悪かったパルセイロがワンチャンスから先制点を奪う。流れが悪くとも、個の力で得点になってしまうところは、良くも悪くもパルセイロらしいところだった。

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この先制点で、パルセイロの攻撃にリズムが生まれてくるかと思われたが、実際にはそうならない。逆に、得点こそ奪われたものの、試合は相変わらずJSCペースで進む。エース要田は、相手CBのエーシ(黒永)に押さえ込まれシュートすら放てない。さらに「JSC期待の若手」であるタケオくんが素晴らしい突破を見せ、次々とパルセイロゴールに迫っていく。

このタケオくんこと、アルベス・デリキ・タケオくん。2年前の全日本ユースで名古屋U-18が準優勝したときのエースストライカー。ブラジル人とのハーフだが、プレースタイルはまさに「日本のFW」。しっかり前線から守備をして、ポストプレーヤーとして回りを活かす動きをしてくれる。昨年は2軍のCUPSで修行を積み、今年からトップでプレーしているが、個人的にはもっと「上」でプレーしてほしい選手だ。

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さて試合に戻るが、パルセイロ的に前半を評価すれば、得点シーン以外は何一ついい場面はなかった。逆にJSCから見れば、リードこそ奪われているが「してやったり」の前半だった。序盤は激しいプレスを仕掛け、相手の出足を止めていく。中盤以降はある程度ボールを持たせながらも、中盤と最終ラインでしっかりブロックを形成して、簡単にバイタルエリアに進入させない。そして奪ったら素速くサイドに展開。

今年からJSCの指揮を執る辛島監督(元松本山雅監督)は、試合前に「あまりパルセイロの印象は前と変わっていませんね」と話していたが、まさにその言葉がウソではないことを証明してしまった前半戦となってしまう。

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後半になると一気に試合は変わっていく。後半11分、大島が2枚目のイエローを受け退場(本人に確認したところ異議とのことだが、公式では反スポーツ行為になっている)。これで、残り時間を10人で戦わなければいけなくなったパルセイロは、藤田を下げて籾谷を投入し、1-0で試合を終わらすことを選択。この後は完全に攻めるJSC、跳ね返すパルセイロという試合展開となる。

しかし不思議なもので、10人になってからのパルセイロの方が、前半よりもいい攻撃が生まれる。基本はカウンターだが、宇野沢が精力的にピッチを駆け回りチャンスメーク。また、左サイドの高野も数的不利を跳ね返そうと、必死に攻撃に絡もうとする。だが、JSCの守備も堅く、なかなか点が取れそうな気配も生まれない。1-0のまま、時間だけが過ぎてゆき、このままで試合終了かと思われたが、87分に試合が動く。

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どうしても追いつきたいJSCは、最後の猛攻を仕掛け、パルセイロのファールを誘発。FKのピンチを与えてしまったパルセイロは、全員がPAに戻って守備につく。しかしここで、マークをうまく外して飛び込んできた武士俣に頭で押し込まれ、終了間際で同点弾を浴びてしまう。試合は結局このままドローで終了し、パルセイロにとって負けに等しいドローでリーグ最終戦を終えた…

確かに、リーグ戦全体の結果としては、14戦で12勝2分と無敗。さらには得失点差+64という圧倒的な数字が残されたが、ライバル不在となってしまったこのリーグで残した結果に対し、「ほら、強かったでしょ?」と言われても、「ハイ、そうですね」とは素直に感じられない。

薩川監督は試合に対して「10人でも点がとれるチームにしなければならないし、9人でも8人でも守りきれるチームにしないとね…」と内容に不満をもらしたが、無敗でリーグを終えたことに対しては胸を張った。そして「このチームの目標地点は『ここ(リーグ優勝)』じゃないからね。あくまでも11月がピーク。全社だって目標の途中。ただね、途中だからと言っても、ウチは全部勝つつもりで行きます。そのためにも、もっと走れるチームになって、フィジカルを上げ、プレーの質を向上させ、11月にはもっとかしこいチームになるよう仕上げていきます。」とコメント。

さらに、このように続けてくれた。

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「(上がる)チャンスはね、今年しかないと思ってる。今のチームには能力の高い選手も多く、伸びしろのある選手もたくさんいる。だからこそ、早く上(JFL)に上がりたい。やっぱりね、山雅って選手はそんなに入れ替わっていないのに、対戦してみて大きく変わっていることを見せつけられた。上のカテゴリーで厳しい試合をしてきたから、チーム力が大きく伸びている。だからこそ、選手には早くそのカテゴリーに行って欲しいんだよね。でもね、最短でさぁ、2年あればJリーグまで行けるんだよ? できないことはないよ。あとは選手がどこまで厳しい試合を楽しめるかだし、緊張しないで平常心で挑めるかというところ。鈴木さん(鈴木政一強化部長)もチームに入ってくれたので、ここから残り2ヶ月、しっかり準備して良い結果を残せるようにやっていきます」

一部要約ですが、試合後の薩川監督のコメントはこのような感じだったが、監督の話を聞いていくうちに、本当に「このままで大丈夫なのか?」という心配が大きくよぎった。確かに、選手個々の能力は他チームより高いかも知れない。当然、地域決勝では、パルセイロはマークされるチームの1つにあげられることは間違いない。しかし、これまで「強い」と言われながらも、地域決勝や大事な全社(2009年大会)で勝ち抜け出来なかった原因はなんだったのか? そこを考えたときに、こんな「イケイケ」で本当に勝ち抜けるのかと…

パルセイロに今必要なことは、ポジティブに自分たちの理想を高めていくことよりも、精神力の弱さを克服し、魅力的なサッカーを目指すより、勝つサッカーに徹底することではないのだろうか? そしてこの日のJSC戦で、その「勝つサッカー」が出来ないことを改めて内外に広めてしまった… 強いチーム、勝ち残れるチームであるならば、内容は悪くとも1人少なくとも、そのまま1-0でクローズさせたはずだが、それが出来なかった。

さらにもう一つ付け加えるなら、いくら格上(JFL)だからといって、山雅と敗れたことは本当に痛かった。いや、ライバルの山雅に敗れたことよりも、また同じパターン(戦術)に敗れた事の方が痛かったのである。引き気味でしっかりブロックを作って攻撃に対応し、相手が前がかりにきた背後のスペースを突く、という毎度おなじみの戦術にだ…

しかし、今年のパルセイロには、そんな不安を吹き飛ばせるかも知れない「即効薬」を手に入れていた。それは、元ジュビロ磐田監督でもある、鈴木政一強化部長である。そして、あまりにも「その先」に不安を感じさせる内容(試合)を見せた後だったこともあり、鈴木さんにもチームを「どうするのか?」という点を伺ってみた。

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「まだ、合流したばかりで、前回(9/11 vs アルティスタ東御)の練習試合で初めてチームを見たばかりですが、選手個々の能力の高さに驚かされました。テクニックはあるし、スピード感もある。個の部分ではいいものがあると感じましたが、チーム全体で見ると、攻撃に比重がかかりすぎていて、バランスの悪さが気にかかりました。

ジュビロでもそうでしたが、私が一番チーム作りでポイントとするのは、グループでの連動とバランスです。攻守の入れ替わりが激しいサッカーでは、それぞれの場面でグループ(役割)をはっきりさせる必要があります。また、攻め一辺倒になってしまったら、守に回ったときに対応できませんので、バランスを重視しなければならない。

また、サッカーというスポーツは、優秀な個の力があれば強いチームになる訳でもありません。だからこそ、優秀な個の存在にグループの動き(働き)を確認させ、さらには、プレーごとに正しい判断が出来るように修正する必要があります。今、私から(チームを)見て、やっと「チームらしくなった」という段階であり、まだまだ完成されたチームではありません。目標である地域決勝まで残された時間は2ヶ月ですが、しっかりとバランスに取れたチームに変えていきますので期待していてください」

鈴木強化部長だが、まだチームを見始めたばかりでありながら、パルセイロに欠けていた部分を的確に見抜いていた…

攻撃に比重を賭けるあまり、裏のスペースを破られて失点
守りきらなければいけないときの判断を誤って失点

確かに、これまでのパルセイロは、魅力的な攻撃サッカーを掲げ、全国への扉を開こうとしていたが、常に最後の最後でリアリストたちのサッカーに跳ね返され続けてきた。言い方は悪いが、パルセイロのサッカーは「夢見る乙女」のサッカーであり、ライバルの山雅は「勝てば官軍」というサッカーを貫き通した。

鈴木強化部長も、「過去の試合とかに関しては、まだ見ていないけど、だいたいそんな感じなんだろう…ということは、先日の練習試合を見てわかりました」と笑いながら話してくれたが、その点こそが、パルセイロのアキレス腱でもあった。これまでのバドゥは、最後まで理想論を捨てることが出来ずチームは敗れ去ったが、鈴木強化部長はその点を見抜いている。だからこそ、パルセイロは残り2ヶ月しかないが、ウィークポイントを修正してくるはず。

北信越リーグ最終戦では、不甲斐ない試合をしてしまったが、もしかすると11月には『したたかな』パルセイロが見られるかも知れない。

そして、2010年9月19日の試合が、パルセイロにとって『北信越リーグ、最後の試合』となることを祈りたい。

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で、最後に非常に個人的な話ですが、ザスパ草津・チャレンジャーズチームの一員であり、JAPANサッカーカレッジのキャプテンを務めていた黒永恵志が、この試合を最後に現役を引退することとなりました。最後の試合となったこの試合でも、最終ラインで要田とマッチアップしながらも、果敢な攻め上がりを見せてくれたエーシ。あれだけの動きを見せてくれたので、ここで辞めるのは非常に惜しいのですが、最後に運良く彼のプレーを見ることが出来たのは幸運でした。

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これで、チャレンジャーズ一期生で現役なのは、ザスパの涼とサク、長崎のタク、佐川印刷のハヤト、tonanのコータ、そしてパルセイロの大典の7人だけになってしまった…

草津1年目では、ケガのため満足にプレー出来ない期間が続いて苦しい時期もありましたが、ここまで本当によくやってきたと思います。本当にお疲れ様でした。これから先は、一足先に現役を退いたナツたちとサッカー談義に花を咲かせてください。

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