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2010年9月17日 (金)

粘りと「推進力」の勝利

関東大学サッカーリーグ
後期2節(通算第13節)@江戸川陸上競技場
筑波大学 2-4 流通経済大学
[得点者]
19分赤崎、25分八反田(筑波)
77分柿崎、79分武藤、84分河本、89分村瀬(流経大)

これまでも、何度も激しい点の取り合いをしてきた両者の対戦だが、この日も激しい戦いが繰り広げられたのである…

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さて、この日の筑波大スタメンだが、風間監督が「ネックになっている」と語った右サイドバック以外は、開幕戦と同じメンバーであったが、奇しくもこのメンバーは、8/29と全く同じ顔ぶれでもあった。
[筑波大スタメン]
ーーー瀬沼ー赤崎ーーー
ー曽我ーーーーー小澤ー
ーーー森谷ー八反田ーー
原田ー谷口ー須藤ー長沼
ーーーー三浦ーーーーー

対する流経大は小川が負傷のため欠場で、中大戦・前半38分以降と同じスタメンで挑んできた。
[筑波大スタメン]
ーーー征矢ー武藤ーーー
ー河本ーーーー増田智ー
ーーーフランクー村瀬ーーー
比嘉ー平田ー中里ー佐藤
ーーーー増田卓ーーーー

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試合は、2分に筑波大がFKのチャンスを得ると、小澤がこれを直接狙ってこの日最初のシュートを放ち、早々と流れをたぐり寄せていく。5分にも曽我が左サイドを突破してシュート。全体のラインをコンパクトにし、奪ったら素速く展開し2列目の選手が追い越していくサッカーで流経大を圧倒。10分にはまたも左サイドからチャンスを掴み、この日最初のビッグチャンスを迎えるが、GK増田とDFのブロックでなんとかピンチを凌ぐ。

その後も12、13、14、16分と波状攻撃から筑波大はシュートを連発。そして18分、流経大は立て続けに迎えたピンチの中で、平田が開幕戦に続いて痛恨のミス。筑波2トップの赤崎、瀬沼の前からのフォアチェックに、なかなか前に出せない流経大守備陣。この場面で平田のバックパスが中途半端となり、赤崎がカット。GKと1vs 1の場面となり、赤崎は相手の動きを見ながらシュート放ち筑波大が先制する。さらに4分後、ボランチの森谷から出たボールをトップの赤崎が落とし、2列目の八反田が蹴り込んで追加点を奪う。

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筑波大の豊富な運動量&前からのプレスにより、高い位置でボールを奪うことが出来ず、最終ラインでクリアすることが精一杯の流経大。当然ながら、この状態で前に繋いでいくサッカーは無理と言うもの。筑波大の早い出足の前に、手も足も出ない流経大守備陣は、残り時間もピンチの連続となってしまう。

44分には小澤が絶妙なループシュートを放つも、これはバーの上。そして前半最後には瀬沼にビッグチャンスが訪れる。赤崎がゴール前でボールを持ちシュート体勢に入ったが、これを平田がブロック。そのこぼれ球が瀬沼の前に流れ、GKと1 vs 1となり、試合を決定づける3点目を前半のうちに奪うかと思われたが、なんとシュートを枠外に外してしまう… 流経大にとっては命拾いした瞬間であり、筑波大にとってはとどめを刺す千載一遇のチャンスを逃してしまうのだった。

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前半を振り返ると、筑波大の良い場面しかない試合だった。流経大が悪いというのではなく、あのサッカー、あの走り、あのプレッシングをされてしまったら、たぶんどんな大学であろうと沈黙するしかないほどの出来であり、風間監督も試合後に「一番の出来だった」と前半のサッカーを褒め称えた。しかし、筑波大の課題といえば、足が止まってしまう後半20分以降をどう乗り切るかである。序盤からハイペースで飛ばしていって、そのペースを最後まで持続することはまず不可能であるからこそ、前半終盤に3点目、4点目を奪えなかったことは非常に痛かったし、後半をどのように戦うのか注目された。

流経大の方だが、ケガ人、コンディション不良でトップで使える選手は、相変わらず限られた人数しかいなかった。ここ最近の控えメンバーも1年生中心という苦しい台所事情なのだが、中野総監督はこう語ってくれている。

「必ずしも、彼ら(1年生)がJFLチームで戦っている同級生や、ほかの上級生より能力が高いという訳でありません。JFLチームが降格という現実が目の前に迫っていることもあり、向こう(JFLチーム)にも、トップ選手や能力の高い新人を置かざるを得ない状態になってしまったので、現在のような選手登録となっています。本当はもっとトップで使いたい選手がいるのですが、今年から2重登録が出来ないため、登録されているメンバーの中でやりくりするしかないのですよ…」

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この日のベンチ入りメンバーを見渡すと、攻撃陣の控えでは1年生しかいなかった。しかしだ、柿崎弘樹はJFLデビュー戦で初ゴールと最年少ゴール記録を残すなど、何かを「持っている男」であり、柳直人は高校時代(作陽高校)の実績において、椎名伸志と替わらないほどのものを残しており、先週大学リーグ戦デビューもすでに飾っている。ゲームは筑波大の圧倒的有利で進んでおり、この状況で途中出場しても、実力を発揮できるかは微妙なところであったが、今のチーム状況では「彼ら」に期待するしかなかった。

さて後半だが、相変わらず筑波ペースは変わらなかったが、流経大守備陣がしっかりブロックを作って対応。攻撃に関しても、前半途中から征矢とポジションチェンジしていた河本明人がボールに絡む機会が増え、徐々に試合の流れを取り戻し始める。そんな中、ハーフタイム時に「途中から行くぞ」と伝えられていた柿崎が、急ピッチでアップを進めていく。そして筑波大の運動量が下がり、プレスが緩くなり始めた頃を見計らっていた中野総監督から「思い切っていけ」と伝えられピッチに送り出される(公式記録では「61分」となっているが、正しくは71分です)

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この交代により、河本が再び左MFに流れ、2トップが武藤ー柿崎という武相高校コンビに変わる流経大。残り時間が20分となってから、勝負に出た流経大が怒濤の反撃を見せる。77分、村瀬からボールを受けた左の河本が縦に突進。長沼がマークに入る前に早いタイミングで中にクロスを入れ、これを柿崎が頭で押し込み、まずは1点差に迫る。

それにしても、柿崎は本当に「何かを持っている男」である。出場から5分たらずで得点を奪い、チームに勢いを呼び込んだのだから…

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この1点で息を吹き返した流経大は、2分後の79分、再び河本がゴールをアシスト。今度は右に開き、またも早いタイミングでクロスを入れると、これを武藤が頭で合わせてついに同点。しかし、流経大の勢い、いや、河本明人の勢いが止まらない。84分、GK増田のキックが最前線の武藤に入り、後ろから入ってきた河本にスルーパス。これを豪快にミドルの位置から蹴り込んでついに流経大が逆転!

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呆然とする筑波大GK三浦…

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柿崎のゴールから、完全に足が止まってしまった筑波大守備陣に、最後まで足が止まらない流経大攻撃陣を止める術がなかった。そして流経大は、まだコンディションが万全ではない山村を投入する余裕まで見せてしまう。この交代に関して中野総監督は「本当は山村を使う予定は無かったのですが、逆転してチームの雰囲気がよかったので、山村に実戦感覚を味わってもらうのにはいいタイミングだと思って出しました」と語り、ポジションについても「将来を考えてボランチ中心でやらせます」ともコメントしてくれた。

さて、試合の方だが、89分に村瀬がFK直接決めて4点目を奪い、そのまま試合終了。

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流経大にとって、この大逆転勝利はこれから先のリーグ戦を戦う上で、チームに勢いを呼び込む最高の勝利となったが、試合後の中野監督は苦笑いしながらこのように述べた。

「勝ったからいいけれど、内容はとてもじゃないけど褒められるものではなかったですね…(笑) 筑波さんが、もし後半引いて来ていたら、うちは絶対に逆転できなかったでしょうね。ただ、筑波は最後まで攻撃的姿勢を崩さず、3点目、4点目を狙ってくるチームだから、ウチにスペースが生まれてくるし、体力的に後半途中から下がってくる。だから、1点でも取れればやれると思っていました。

前期だったら、前半で失点してしまったら、ズルズル行ってしまったのでしょうけど、ハードなトレーニングをこなしてきた成果が後期は出てきており、粘り強い戦い方が出来るようになってきました。

昨年まではね、今日の筑波さんのようにボールを支配して、自分たちが主導権を握ってゲームをコントロールすることが出来ていたんですが、4年間で3度優勝したことにより、今の子たちは『強い時(勝っているとき)のサッカー』が当たり前となっていき、サッカーの原点であるはずの『がむしゃらさ』や『ひたむき』」を忘れてしまったことが不振の原因となってしまった。


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日本代表もそうだし、流経もそうなんだけど、小さな体のチームが勝って行くには全員がハードワークするしかないんですよ。前期の流経はハードワークすることを忘れてしまっていたが、夏合宿を経たことでチームに最後まで諦めずに戦う気持ちが芽生えてくれた。プレスに関しては、ボールを奪えなくとも、プレッシャーを与え続ければパスコースを変えることは出来ると伝えています。相手のパスコース(パスの選択肢)を変えられれば、相手のゲームプランを変えることも出来る。そういう、地味だけど重要な動きを選手は最後までしっかりやってくれたし、狙いだったショートカウンターも終盤に出すことが出来ました。


内容に関しては、まだまだ不満があります。それでも、今日のように試合をひっくり返せるようになったことは大きいですよ」

とコメントし、この日活躍した柿崎などの1年生について、中野総監督はこのように述べた。

「2日前にね、ジェフと練習試合をして3-1で勝ちましたが、途中から多くの1年生(JFLチームの中美、久保なども含む)を出しましたが、彼らはプロ相手でも負けておらず、1年生の子たちに『推進力』があるなあと感じました。まあ、だからといって、柿崎や柳を先発で使うにはまだ難しいのですが、短い時間であるならば十分に力は出せるし、途中から流れを変えるには、2人がピッタリだと感じたので送り出しましたが、本当によくやってくれましたよ…」

中野総監督のコメントにあったとおり、3点目を奪われなかったことと、最後まで足が止まらなかったことが勝因に結びついたが、反撃ののろしを上げた柿崎の一撃が無ければ、大逆転は無かったと言えるだろう。そしてパスを繋いで崩していくチームの中にありながら、果敢な突破でチャンスを広げていった河本の活躍も見逃してはならない。

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確かに前半は何一つ自分たちのサッカーが出来なかったが、「耐えること」が本当に出来るようになってきた流経大。中野さんが最後にコメントしてくれた「勝ったことは自信になるけど、うぬぼれてはいけない。1戦1戦トーナメントのつもりでしっかり戦っていきます」という言葉を、選手全員が共通認識として持つことが出来れば、チームは本当に勢いを取り戻すはずだ。

さて悪夢のような逆転負けを喫した筑波大だが、当初の不安のとおり、後半20分以降の戦い方に問題を残してしまった。筑波大に関しては、良くも悪くも「理想を追い求める」傾向があるため、どうしても「勝負」には不向きなチームという印象が残ってしまう。この日の試合も、確かに前半で瀬沼、赤崎、小澤が決定的なシュートを外してしまい、追加点を奪えなかったことが敗戦に繋がってしまったが、後半は2点差を守りきるというサッカーを選択してもよかったのではと思うのだが…

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確かに、日本のサッカーを面白くするには、筑波大がこの日に見せた「前半のサッカー」を90分間やり通せば面白くなるはず。だが、それを大学生に求めるには酷すぎる。いや、プロでも厳しいだろう… たぶん、筑波が2部に落ちることはないが、このままのサッカーをしていけば、優勝することもないと思われる。目指す理想を求めるには、高すぎるハードルを設定している風間・筑波大。しかし、このチームは、その高いハードルにあえて今後も挑戦し続けるのである。

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