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2010年8月31日 (火)

差が開いたライバル対決

第15回長野県サッカー選手権・決勝 @アルウィン
松本山雅FC 1-0 AC長野パルセイロ
[得点者]
42分須藤(松本)

日曜日に行われた信州ダービーだが、無料試合ということもあり、6523人の観衆が集まったのだが、やはりこの試合は「特別な対決」であることを改めて印象づけた…

2010

松本山雅が北信越1部に昇格する前から、天皇杯予選などで対決はあったものの、「熱い戦い」と注目されたのはやはり2006年から。当時の状況を写真で振り返ると、やはり年々試合内容、観客動員が増えていき、「J」がつかないカテゴリーでも素晴らしいダービーマッチがあることを、全国に知らしめて行った。

2009

昨年10月20日、市原臨海で運命の最終決戦と言えたライバル対決(全社準決勝)を制した松本山雅は、その勢いを持続したまま地域リーグ決勝大会も勝ち抜き、JFL昇格を果たし、今やJ準会員チームとなった。そして敗れた長野パルセイロは、4年続いたバドゥ体制に別れを告げ、薩川新体制となり今年こそ、JFL昇格を目指して北信越リーグを戦っている。

2008
2007
2006

宿命のライバル、憎き宿敵、絶対に負けてはいけない相手…

松本と長野は、互いにこの対決を、こう言うかも知れない。しかし、そう思う(言う)からこそ、この対戦は熱く、おもしろいものになって行ったが、明確なライバル心、敵対心がなければ、ダービーそのものも熟成していかなかっただろう。

さて、前置きが長くなってしまったが、この試合を振り返ってみよう。

まず山雅だが、JFLで数試合見ていたものの、この日のスタメンには初先発3人が名を連ね、少し驚かさせられた。

[松本山雅スタメン]
ーーー武田ー柿本ーーー
ー北村ーーーーー大西ー
ーーー弦巻ー本田ーーー
鐵戸ー須藤ー飯田ー玉林
ーーーー石川ーーーーー

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[パルセイロスタメン]
ーーー要田ー宇野沢ーー
ー栗原ーーーーー大典ー
ーーー土橋ー大橋ーーー
高野ー大島ーモミー野澤
ーーーー諏訪ーーーーー

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パルセイロのスタメンは、ベストといええるメンバーでライバルとの対戦に備えてきた。

開始早々、両者ともゴール前にボールが入るチャンスを迎え、序盤からダービーらしい激しい攻防が見られ、試合への期待が高まっていく。しかしだ、ダービー初登場となった、パルセイロのGK・諏訪のプレーがどうしても安定しない。5分、諏訪のキックミスを武田に奪われ、あわやのシーンを作り出してしまう。

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そして続く8分、右に開いた弦巻が中にクロスを入れると、柿本が中央でフリーでヘディング。山雅にとって最初の決定機となったが、ここはシュートは枠を捉えられず。しかし、パルセイロも黙ってはおらず、直後の9分に宇野沢がパルセイロの1stシュートを放ち、流れを引き戻そうとする。

序盤は互いに攻撃的に出て、流れを引き寄せようとするのだが、さすがに相手をよく知る両者の一戦は、次第に拮抗した展開へと変わっていくのだが、15分以降のゲームは「攻めるパルセイロ、守る山雅」という、これまで信州ダービーと大きく変わらない姿がピッチに現れる。

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前線に楔のパスを入れ、宇野沢や大典が精力的に動き回り、サイドを上手く使って山雅ゴールに迫るパルセイロ。しかし、前半は「3人目」の動き出し、連携があまり見られず、チャンスは作るものの迫力のある攻撃とまではいえない状況が続く。対する山雅は、これまでの対パルセイロ戦そのままの「相手が上がった裏のスペースを素速く突く」という作戦を取る。

こうなれば、どちらが「型」にはまるのか? で勝敗が分かれるな…と感じていたが、思わぬ形で先制点が生まれることとなる。

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42分、土橋がPA付近で相手を倒してイエロー。そしてFKのチャンスを与えてしまうのだが、この場面でまたもGK諏訪にミスが生まれてしまう。北村の蹴ったボールに、諏訪は飛び出して対処しようとするのだが、目測を誤りボールにさわれない。がら空きのパルセイロゴール。そしてゴール前でフリーになっていた須藤が、難なく頭で押し込み山雅が先制。

厳しい言い方だが、GKは飛び出したのであれば必ずボールにさわらなければいけない。キャッチ出来ない場合は、パンチングするなり、触るなりしてボールの軌道を変えなければいけないのだが、それが出来なかった。また、カバーしなければいけないディフェンス陣もこの場面、集中を欠いてしまった。

絶対に与えてはいけない先制点を奪われてしまったパルセイロ
思わぬ形で先制点が入り、より試合運びが楽になった山雅

ボールのポゼッション、ゴール前にボールを運ぶプロセスだけで見れば、確実にパルセイロのゲームに見えるだろうが、実際には山雅のゲームプランどおりの前半だった。

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後が無くなったパルセイロだが、1点リードされているものの、薩川監督はそれほど慌ててはいなかった。試合前、選手には「前半は相手を動かすようなサッカーに終始して、後半にギアを入れ替えて仕掛けていけ」と伝えていたこともあり、前半はやや自重気味で戦い、勝負は後半という意識で挑んでいたこともあり、後半開始直後からパルセイロは山雅ゴールに猛攻を浴びせる。

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後半開始直後にCKのチャンスを奪うと、立て続けにチャンスシーンを作り出し、宇野沢や佐藤大典が惜しいシュートを放ち続けるパルセイロ。

だが、山雅守備陣は全く慌ててはいなかった。この日、初先発の飯田を含めた新しいセットの4バックは、パルセイロの攻撃に冷静に対応。JFLという全国リーグで、鳥取や町田といったJを狙うチーム、はたまたアマチュアの雄であるSAGAWAやHonda FCなどと連戦を重ねた経験はダテではなかった。

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山雅と金沢が抜け、最大のライバルとなるはずのJSCも大きく戦力ダウンした今、北信越リーグで強敵と言える相手のいないパルセイロ。JFLという、これまで以上に高いレベルのリーグに戦いの場所を移した山雅。コンディションがそれほど良くなくとも、勝ててしまうパルセイロ。常に全力でなければ勝利できないリーグで戦う山雅。まだ半年という時間だが、貴重な経験を重ねた山雅には粘り強さと自信が兼ね備わっていた。

また、もう一つ付け加えれば、この日の要田はまったくと言っていいほど機能しておらず、低調なパフォーマンスに終始してしまい、山雅守備陣にさらに余裕を与えてしまった。残念ながら、かつて山雅を苦しめたエースの姿はピッチに存在していなかったのだ…

攻勢を強めるパルセイロだが、やはり両サイドバックの効果的なオーバーラップはそれほど見られず、次第に攻撃が頭打ちになっていく中で、パルセイロに悪夢のようなシーンが訪れる。65分、土橋が2枚目のイエローを受け、退場となってしまう。

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残り時間は25分。フィールドプレーヤーが10人 vs 9人の状況、1点のビハインド… 徐々に焦りが見えだしたパルセイロに、山雅のカウンターが前半以上に鋭さを増していく。26分、27分、29分、30分と立て続けに決定機を迎えるのだが、石田、柿本らが立て続けに外してしまい、山雅は試合を決定づける追加点がなかなか奪えない。

試合はそのまま終盤にさしかかり、そして77分、薩川監督はDFの本城を投入。最終ラインを3バックにして最後の賭けに出る。

ーー藤田ーーー宇野沢ーー
ーーーーー栗原ーーーーー
高野ーーーーーーーー野澤
ーーーーー大橋ーーーーー
ーー大島ーモミー本城ーー
ーーーーー諏訪ーーーーー

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前に人数を増やしたパルセイロだが、守備面で大きく成長した山雅守備陣を崩すまでに至らず、結局試合は1-0のまま終了し、3年連続同一カードとなった長野県サッカー選手権・決勝は、山雅の3連覇で幕を閉じた。

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試合後の山雅・吉澤監督は、1-0という試合だったが、コンセプトどおりに試合を運べたことには評価をしたが、あれだけチャンスがありながら追加点を奪えなかった事には不満をもらした。しかし、これから始まる天皇杯に関しては、まずは3日の試合でしっかり勝って、次(5日)の甲府戦へ必ずたどりつきたいと語った。そして「J1を狙うチームがどれぐらい強くて、自分たちの力がどこまで通用するか確かめたい」とコメントしてくれた。

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さて、パルセイロに関してだが、薩川監督も、DFの籾谷も、声を揃えて「負けたことは素直に受け入れなければいけないのだが、決して自分たちのサッカーが通用しないということはない、ということを感じられました」とコメント。また、天皇杯に出ることも大事なのだが、自分たちの最終目標は「11月」なので、この敗戦を、いい経験としてピークに向けて調整していきますと語った。

このように監督や選手はコメントしたのだが、正直なところ、これで大丈夫なのか?という印象を受けた。ポゼッションサッカーにこだわりを持つのはいいが、カウンターを主体とする山雅のサッカーに、天皇杯予選では3年も負け続けている事実。同じ相手に、同じやり方で負け続けていては、チームの進化に疑問符が付いたとしても不思議はないはず。

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北信越に関しては、事実上優勝を決めているパルセイロだが、果たして今年こそ悲願のJFL達成が出来るだろうか? そのためには、ライバルに敗れた経験を絶対に無駄にしてはいけないし、堅守速攻型のチームに対する対応策だけではなく、要田、土橋、籾谷といったベテランに頼らなくても戦えるチーム作りを、11月の地域決勝までにどこまで出来るかがポイントとなってくるだろう。

出来ることならば、来年のダービーマッチは天皇杯予選ではなく、JFLの舞台で見たいものだから…

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