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2010年7月10日 (土)

中京大、頂点まであと一つ

本日行われる大学サッカー・総理大臣杯の決勝戦は中京大学 vs 駒澤大学という大会前には予想しなかったであろうカードとなった。中京大学が戦い抜いたブロックとは反対側の駒澤大学については「順当」という結果であったのだが、波乱はやはり中京大学である。

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正直なところ、中京大学の試合を見たことが無く、どんな試合をするのかはまったくわからなかった。当然、東海リーグでどのように戦っているかわからない。静産大、浜松大はHonda FCとの練習試合を見ているので、トップチームではないが、かろうじて「こういう試合をするチーム」というのはわかるのだが、中京はまったくもって未知のチーム。東海リーグでは現在3位のチームであり、大会前は申し訳ないが2回戦で消えるだろう…と思ったいた。

中京大学は1回戦の札幌大学戦から一貫した戦術を取り入れている。それは「守り勝つ」戦術だ。リーグ戦とは違い、1発勝負のトーナメント方式では守備的にやったほうが、勝ち上がれる可能性は非常に高い。西ヶ谷監督曰く「基本、戦い方はリーグ戦とは大きく変えてはいない。ただ、リーグ戦のように勝っても負けても次があるわけではないので、前半はより慎重な姿勢で試合に入るように指示を徹底しています、またサッカーというスポーツは90分間のスポーツなので、どんなに強い相手でも90分間ハイペースのままで出来るわけがない。だから、相手のペースが落ちるまではなんとか我慢しようと伝えています」とのこと。

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ということで、決勝まで勝ち抜いてきた中京大学の基本システムを紹介

ーーーー斎藤ーーーーー
石原ー佐藤ー熊沢ー星野
ーーーー森本ーーーーー
平山ー須崎ー中田ー小川
ーーーー石川ーーーーー

メンバーは前後半などで若干の入れ替わりはあるものの、4-1-4-1というシステムを導入する中京大学。しかし、前半のほとんどの時間帯は7番・石原が完全にサイドバックの位置に下がった5-1-3-1という極端な守備的システムを敷いてくる。5バックの前には、ユニバ代表にも選ばれている森本がアンカーに入り、バイタルエリアをしっかりケア。本職であるCBからアンカーへのコンバートが、ここにきて板に付いてきたようである。

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相手がボールを持った瞬間、4-1-4-1からすぐさま5-1-3-1に変える中京大のデイフェンスに、対戦相手は大いに苦しむこととなる。そして、中京大のシステムがみごとにはまったのは、やはり2回戦の福岡大学戦であろう。

ワールドカップ帯同メンバーでもある永井謙佑だけではなく、牟田、清武、宮本といった大学選抜組や、ユース年代で年代別日本代表に選ばれたタレントを豊富に揃える福岡大学は、流経大に勝った時点で決勝進出濃厚かとも思われていた。しかし、これにストップを掛けたのが中京大だった。試合は開始早々の3分にCKから永井に決められ、これは福岡大の多量得点もあるか…と思われたのだが、これ以降、中京大が敷く鉄壁の守りを福岡大はまったく攻略ができず、もどかしい時間を続けていく。

また、永井をマンマークで「殺す」のではなく、永井へボールを入れさせない守備戦術をとったことは素晴らしかった。もし、永井の動きに守備を集中させていたら、他の選手がフリーになる機会は間違いなく多かったはず。しかし、永井への出所を封鎖したことで、福岡大はボールの「出口」を見失い無駄にヨコパスだけを繋ぐ時間が増えて行ってしまった。

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結局前半は福岡大1点のリードで終えたのだがシュート数は福岡の10に対して中京は0。はたして後半はどう出てくるのかと思ったが、後半からは前半よりも5バックの時間が減り、本来の堅守速攻を活かした4-1-4-1で戦う時間が増えてくる。そして後半8分、カウンターから得たFKのチャンスを中村が直接決めて試合を振り出しに戻す。ちなみにこのシュートが中京大のファーストシュートであった。

この後は再び、5バックと4バックを変幻自在に変え、臨機応変に対応した中京大はPK戦まで持ち込み、ここでもしぶとさを見せ、ついに福岡大学を振り切ってベスト4進出(中京大1-1/PK3-2 福岡大)。

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そして準決勝の国士舘大戦だが、この試合も相手に圧倒され続けた。しかし、それでも福岡大戦よりも、前半から攻撃をしかける機会は多かった。1トップで前線に張る斎藤のキープ力は見る物があり、数少ないチャンスなのだが、それを確実にシュートを打てる場面まで持ち込んでいく。

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また、ディフェンス面に関しては、前半と後半の分け方がなんとも絶妙であった。左右両サイドできる平山に、センターとサイドの両方できる須崎と小川という選手がいることで、守る時間と攻める時間にメリハリをつけることが出来たのだ。前半は守備的に行くことから、攻撃力のある小川を敢えてセンターに置き、勝負となる後半にはサイドに出して、積極的に攻撃に絡ませる。

これが見事にはまることとなり、国士舘も堅いディフェンスと素速いカウンターに悩まされることとなる。そして後半15分、やはりカウンターからチャンスが生まれ、右サイドでボールを受けた斎藤が縦にドリブル突破を図り、中央の熊澤がワンタッチで左に流し、これを左サイドから走り込んできた中村が、福岡大学戦に続く値千金のゴールを叩き込み、中京大が先制。

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手数と人数を掛けず、少ない人数で得点してしまうという、中京大の真骨頂のような得点シーン。最初の試合を見たときには、「そこまでガチガチに守って勝ちたいか?」と思ったのだが、ここまでチーム全体で意思統一が出来ており、それが最後までしっかり出来るのであれば「あっぱれ!」と言うしかない。

さて、1点のリードをしたものの、ここから先は国士舘の猛攻に晒されることとなる。高さのある服部を投入し、DFの塩谷を最前線に上げ、2-5-3という超攻撃的布陣で得点を奪いに行く国士舘。ここまで来ると、両チームとも戦術もへったくりもない。とにかく気持ちで劣った方が「負け」という世界になってくる。必死に相手の攻撃を跳ね返す中京大。電光掲示板の時計はついに45分となり、残された時間(ロスタイム)は3分と表示される。

あと3分守りきれば中京大の決勝進出だが、ここでドラマが待ちかまえていた。ゴール前正面で相手を倒してしまい、国士舘の直接FKのチャンスが訪れる。キッカーは最初にポイントに立った大竹かと思われたが、後ろから入ってきた吉野が蹴る。このシュートはゴールめがけて一直線に飛んでいく。ゴールキーパーがヨコに飛ぶが手は届かない。劇的な同点ゴールかと思われたが、シュートは無情にもポストを直撃。

自分たちの踏ん張りだけではなく、「運」にまで味方された中京大。ある意味、決勝進出は約束されていたのかも知れない…

最後の最後では、平山が2枚目のイエローを受け退場となり1人少ない状況となってしまったが、試合は結局1-0で中京大学が国士舘大を下して決勝進出。

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さて、守備的な戦いオンリーで勝ち抜いてきた中京大だが、実は福岡大に負けず劣らず個性豊かなタレントが揃っているのだ。大学選抜に選ばれているDFの中田智久、アンカーに入っている森本良、MFの石原卓、FWの斎藤和樹といった選手が名を連ねる中京大は、かなり実力が高いことはよくわかった。そしてこのチームの特色として、元Jリーガーが多いのもの特徴の一つだ。中田は元ヴィッセル神戸、石原は元横浜Fマリノス、須崎恭平は元ジュビロ磐田。プロでは芽が出なかったが、中京大に入学して、どの選手も再び輝きを取り戻しているのだ。

プロで壁に当たって沈むのではなく、大学に入り直してサッカープレーヤーとしてではなく、4年という時間をじっくり使って一人の人間としてリスタートする。とても興味深いことであり、これこそ、大学サッカーが見直されている要因の一つであろう。

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ということで、決勝は本日14時から中京大学 vs 駒澤大学というカードで行われるが、駒澤としては堅い守りをベースとする中京大に大いに苦しむ展開となるだろう。また、1年生ながらも司令塔として活躍する碓井鉄平だが、大阪に入ってから風邪をこじらせ体調はベストではなく、仙台大学との準決勝はベストとはほど遠いパフォーマンスとなっていたが、果たしてどこまで回復しているか気になるところ。また、駒澤としては金久保や湯澤といったサイドアタッカー陣の活躍がポイントなるはず。

守りの中京、攻撃の駒澤

果たしてどちらが相手を上回れるだろうか…

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