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2010年7月11日 (日)

駒大、6度目の総理大臣杯制覇

第34回総理大臣杯
全日本大学サッカートーナメント
決勝戦 @長居スタジアム
駒澤大学 3-2 中京大学
[得点者]
17分斎藤、65分中村(中京大)
26分金久保、90分大塚、104分湯澤(駒大)

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6年ぶり6度目の優勝を目指す駒澤大学(関東第二代表)と、初優勝を目指す中京大学(東海代表)の間で行われた総理大臣杯の決勝戦。堅守速攻の中京に、サイドアタックから崩していく駒澤と、それぞれのカラーが色濃く出た一戦となる。

中京大はMF熊澤圭祐とDF平山照晃、駒澤大はFW棗佑喜とDF林堂眞という、両者とも主力メンバーが大事な決勝戦で出場停止で、決してベストとはいえない状態で決勝のピッチに立つこととなった。

しかし両チームとも、主力が出場停止でもこれまでの同じシステムを採用。中京はメンバー表どおりでは4-5-1だが、実際は4-1-4-1、もしくは5-4-1(5-1-3-1)といった形。対する駒澤はこちらもこれまでどおりの中盤がややダイヤモンド型の4-4-2。お互いに自分たちのスタイルをぶつけ合う決勝戦は、予想どおりの展開からスタートする。

序盤からボールポゼッションを高める駒澤がペースを掴む。しかし、これまでの3戦同様、相手ボールになった途端に左サイドの中盤が最終ラインに入って5バックにして守備を固める中京大ディフェンスに手を焼いてしまう。攻撃的に出ているのに、実は相手の思惑どおりの試合を「やらさせらている」駒大。こうなると、中京大のカウンターが「はまるか?」に懸かってくる。

そして中京大にとっては願ってもない展開が訪れる。

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16分、カウンターから右サイドに展開し、一気に相手陣内へ攻め込む。一旦は相手にクリアされるも、そのボールを再び内田が拾って佐藤に渡し、これを縦に走った斎藤にラストパス。駒大ディフェンスは早い展開について行けず、斎藤の抜け出しを許してしまう。あとはGK岡と1 vs 1の状況で冷静にゴールに流し込むだけ。流れるような展開かつ、ワンチャンスを見事に決めてくる集中力の高さは、改めて脱帽であった…

まさかまさかの展開。中京大が早い時間帯で先制するとは…

このまま1点リードで堅守を活かしたサッカーで逃げ切れるかと思われたが、やや不運ともいえる判定で中京大をピンチを招く。25分、左サイドから崩されて、最後はペナルティ内で後ろから倒したと判定されPKを献上。この判定、1回戦の山村が永井に与えたPKジャッジと同じく、かなり「何もしてないんじゃない?」というプレーだったのだが…

まあ、事の真相はどうあれ、一度PKのジャッジを下したのだから覆らない。これを金久保が冷静に蹴り込み駒大が同点に追いつく。しかし、西ヶ谷監督は1回戦から「前半は0-1で折り返してもかまわない」と言い続けていたこともあり、中京大はこの失点で慌てることはなかった。

前半は1-1のまま折り返し、後半勝負となるのだが、この展開はやはり中京の「ペース」とも言えた。この大会、全ての試合で後半勝負という流れをしてきた中京大にとっては、願ったりの展開。前半は5バックで耐え、後半は4バックにして攻撃の機会を虎視眈々と狙う。そしてこの狙いは決勝戦でも見事に的中する。

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2回戦、3回戦と値千金のゴールを叩きだした中村亮太、1回戦で決勝点を決めた藤巻祥吾を相次いで投入し勝負を仕掛けると、65分に中村がまたもや大きな仕事をやってのける。ゴールから35メートルほど離れた地点からのFKを強烈な一撃でそのままゴールに叩き込んだ。これで中村自身は大会通算3点目となり、チームは再び駒大を突き放す。

あとは守備をしっかり固めて守りきれば悲願達成である。相変わらず駒大にボールは持たれるものの、ガッチリ固めたゴール前ではシュートを打たせず、奪っては鋭いカウンターで相手に思うようなサッカーをさせない中京大。試合時間はあと1分と迫ったときに、一瞬の隙が生まれた…

89分、一度は攻め込まれたボールを相手陣内深くへクリアしたのだが、ボールを拾ったGK岡からのロングボールが思った以上に伸びて、ゴール前に入ってくる。ここで、DF、GKともども一瞬出足が遅れ、途中交代で入った大塚に頭で押し込まれ痛恨の1点を奪われてしまう。

駒大にとってはまさに「起死回生」の一撃となる。サイドから崩す駒大らしい美しいゴールではなく、ただひたすらに泥臭く奪ったゴール。しかし、魂のこもったプレーがあったからこそ、生まれた得点でもあった。中京大学からすれば、優勝はもう「手の中」にあったはずであろう。しかし、最後の最後で堅守にほころびを見せてしまうとは…

そして試合は10分ハーフの延長戦に突入するのだが、さすがにここまで来ると、中京も「守り勝ち」という訳にはいかない。これまでのような「受け身」ではなく、攻撃的に出てくるのだが、これが試合の流れを微妙に変えることとなる。

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攻撃的に出始めたことにより、中京ディフェンスの裏が徐々に空き出すこととなり、途中交代で入ったドリブラー、湯澤洋介が果敢に相手ゴールへアタックを仕掛ける。そして延長後半4分、中京ボールを奪って、素速く左サイドに展開した湯澤にボールが渡ると距離、角度とともに難しい位置ながらも、強引に狙ったシュートが決まって、この試合、初めて駒大がリードを奪う。

中京大に残された時間はあと6分。しかし、攻撃の「型」のバリエーションの少なさが、「ここぞ」という場面では、その乏しさが勝敗を分ける事に繋がってしまった。

104分に生まれた湯澤のゴールが決勝点となり、駒大が6年ぶり6度目の総理大臣杯制覇を達成。

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駒大に関してだが、関東大学リーグ戦の序盤では、ややもたつきを見せたものの、リーグ戦終盤は安定した戦いを見せ、前期最終節では無敗の明治大学に黒星を付け、好調をアピールして総理大臣杯に挑んできた。徐々にチームが完成度を上げていき、ここでまずは1冠目を獲得した駒澤大学。これで天皇杯シードを獲得したこともあり、スッキリとした気分で後期のリーグ戦開幕を迎えられるし、明大と並んで優勝争いの核となることは確実だ。

そしてルーキーながらも優勝メンバーに名を連ねた碓井鉄平の「強運」も注目したい。初出場で初優勝にたどり着いた山梨学院附属高校時代。そして今回の総理大臣杯。流経大に入った椎名伸志、筑波大に入った赤崎秀平と並ぶスーパールーキーの一人だが、彼の持っている「強運」は、他の2人よりも群を抜いている。

今大会では体調面からベストとは言えなかったものの、秋田監督は「これまで、ウチにはいなかったタイプの選手。プレーの際に独特の間をもっており、彼がボールを持つことで、いろいろな『引き出し』が生まれます。まだまだの面も多いが、それをカバーするセンスには大いに期待していますね」とコメント。

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さて中京大学だが、前評判はそれほど高くは無かったものの、徹底したスカウティングにより、相手のストロングポイントを突き、堅い守備をベースに鋭い一撃で相手を撃破するサッカーは、最初から最後まで見事に貫かれていた。

今大会で、もっともチームカラーの出た学校は、まさに中京大学といえた。全国の舞台でも、十分に渡り合える実力があることは示したのだが、まだ「頂点に立つ」には力は備わってはいなかった。まだ(東海)リーグ戦、インカレと大学タイトルは続くが、夏から秋にかけて、堅守だけではなく攻撃のバリエーションをいかに増やしていくかが、中京大のタイトル戴冠に繋がっていくはずだ…。

最後に、駒澤大学の皆様、優勝おめでとうございます。

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