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2010年6月21日 (月)

力を与えたダービーマッチ

JFL 前期第16節 @西が丘
横河武蔵野 2-3 町田ゼルビア
[得点者]
55分、90分勝又、78分木島(町田)
61 分関野、81分高松

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世の中は「日本 vs オランダ」に注目しっぱなしの中、JFL第16節はひっそりと真っ昼間に行われていた。この日ばかりは、普段サッカーに興味のない人も、代表戦見たさにテレビにかじりついていたであろうが、本当は「この試合」こそ、普段興味の無い人に、ぜひ見て欲しかった…

そう、いい切れるほどおもしろみの詰まったゲームが展開される。

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これまで、横河武蔵野の「ダービー」の相手は、佐川急便東京SCだったが、このチームが大阪と合併して滋賀に移転したことから、JFL版東京ダービーは消滅。しかし、昨シーズンから町田市を本拠地とする町田ゼルビアが参入してきたことで、「ダービーマッチ」が復活。そしてこのダービーだが、「南北多摩合戦」と名付けられた。

昨年の対戦だが、2戦とも横河が町田を2-1で下し、先輩の貫禄を見せつけたのだが、主力として活躍した太田康介、斉藤広野は今季から町田に移籍しており、横河としては、「町田ゼルビア」というよりも、「この2人には負けない」という意識を強く持っていた。さらには「天皇杯・JFLシード権」を得るためにも、3位町田は叩いておきたい相手。そんないろいろな思いが絡みながら試合に挑んでいた。

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対する町田だが、正直なところ「ダービーマッチ」、「天皇杯シード」を考えるほどの余裕はあまりなかった。開幕戦でこそ、王者SAGAWAに引き分けたが、その後は破竹の7連勝。しかし、9節の琉球戦で惜敗すると、ここから歯車が狂いだし、これ以降は1勝5敗と泥沼状態に。そして前節だが、この試合もホンダロックに先制され、敗戦濃厚かと思われた89分、ラッキーとしか言いようのないオウンゴールで同点となり、辛くも勝ち点「1」を拾った。

そんなこともあり、相手とかは関係なく、今できることをとにかくやる。そして90分間ファイトし続けることだけを頭に叩き込んでピッチに立っていた。

さて試合だが、相手と戦う前に「天候」とも戦わなければいけない、厳しい条件の中でキックオフを迎えた。関東も梅雨入りしているのだが、この日の天候は晴れ。さらに気温は13時で32,2℃、湿度49%。しかし、時が進むにつれ、気温は上がり、湿度も上昇。少し動くだけで、汗がどっと噴き出るような状態で、選手の体力は普段以上に消耗していく。

それでも選手はピッチを全力で走る…
そして全力で戦う

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序盤は互いに持ち味を出そうと一進一退の攻防が続く。パスを繋いでサイドから崩していこうとする横河武蔵野。高い得点能力を誇る2トップを軸に攻撃を仕掛ける町田。どちらも譲らぬ展開を見せ、炎天下で行われていることを忘れさせるような激しい試合が繰り広げられる。そして、前半は両者6本ずつのシュートを放つのだが、得点は奪えずスコアレスのまま後半戦へ。

後半に入っても、繋いでサイドの横河、2トップを起点とする町田の展開は変わらない。しかし、前半から気になっていた、町田のGK吉田とCBコンビの呼吸は、後半になってもイマイチのまま。他は悪くないのに、あの最終ラインの不安定な守備はいかがなものか…と思っていたのだが、そんな不安をよそに、左サイドに展開した木島からクロスが入り、中央で勝又が頭で合わせて町田が先制。

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このゴールを合図に、西が丘は「激しい戦いの場」となっていく。

横河もすぐに反撃を仕掛け、これまで執拗に狙ってきたサイド攻撃が実り、林の低いクロスに関野が合わせて61分に同点とする。さて、このシーンだが、上でも記したが、GKとCBの連携ミスが色濃く出てしまったシーンでもある。左からのライナー勢のクロスにGKもCBも反応せず、お互いの間をボールはすり抜けて行ってしまい、逆サイドで詰めていた関野は、これを押し込むだけでよかった…

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厳しい言い方かも知れないが、ディフェンスラインの集中が途切れてしまう場面があるようでは、なかなか勝ちきれない。この場面でも、どちらかがしっかり声を出していれば、クリアは出来た場面であり、これが上手くいっていないところに、不調の原因が隠れているような気がした。

このように、守備面ではお世辞でも「次第点」とは言えない町田だったが、攻撃に関しては「さすが」というか「底力」を見せつける。

78分、真ん中やや左でボールを受けた木島が、ドリブルで突進。ややサイドに流れながらドリブルを仕掛けると、強引な体勢ながらもシュートを放つとこれが見事に決まって町田が再び横河を突き放す。

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木島良輔といえば、横浜Fマリノスを皮切りに、いくつものチームを渡り歩いた「流浪のストライカー」である。しかし、私にとって彼の印象はいまだに「やんちゃだった高校時代」のイメージのままである。帝京高校時代、古沼貞雄監督に「オマエは支度がトロイから、早めに交代させるぞ!」と文句ばかり言われていたが、その反面、彼のゴールへの嗅覚を人一倍評価していた。

木島といえば、帝京高校。そして彼が高校時代活躍したピッチでもある西が丘…

彼は彼なりに、このピッチに戻ってきたことに感慨があったし、停滞するチームをどうしても救いたかった。その2つの想いが、強引とも思われるドリブルシュートを2点目に結びつけていく。

これで勝負あったか?と思われたが、ドラマは次の展開を用意していた。

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木島のゴールの3分後、横河は町田ゴール前でFKのチャンスを得る。キッカーは高松健太郎。依田監督は、終盤の膠着した状況、もしくは点が欲しいときの「切り札」として期待を込めて70分に高松をピッチに送り込んでいたが、この采配がズバリ的中。81分、高松の左足から放たれた技ありのシュートは、町田のゴールネットを揺らし、再び同点に追いつくのである。

現在の順位こそ、横河の5位に対して町田は3位。上に立つの町田だが、やはり「横河武蔵野」という壁は、まだまだ高いのか?と思われた。しかし、横河から移籍してきた太田康介は、以前と変わらぬ統率力でチームに渇を入れ、正確なロングパスで流れを変えていく。

試合開始時間よりも、さらに気温が上がっている会場だが、試合もさらにヒートアップする。湿度も高く、極限状態といっておかしくない状態でありながらも、最後まで全力ファイトする両者。残り時間的に、どう考えても次の1点で試合は決まる。

さあ、次の1点はどっちなんだ…

88分、西が丘にどよめきが起こる。横河のチャンスから林俊介の放ったボレーシュートは決まったか!と思われたがバーを直撃。しかしこの直後、横河はすぐさま町田の反撃に遭い、CKのピンチを迎える。時間はまもなく90分。横河はこのピンチを逃げ切れるのか?

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このCKのボールを一度はDFが頭でクリアするものの、これが木島に渡ってしまう。ここで再び木島はドリブルを仕掛け、中央の鈴木祐輔へパス。鈴木が相手のプレッシャーを受けながらもシュート。これを林、遠藤がブロックするが、こぼれ球に勝又が反応して右足で押し込み、町田が試合を決定づける3点目を奪う。

このシーンだが、競り合いの中で鈴木祐輔と冨岡大吾が接触し、互いに頭に裂傷を負うという激しい「戦い」があった。しかし、それはラフプレーの末ではなく、プライドがぶつかり合った結果のもの。どちらも責めることはできないはずだ。そして、両者とも頭にテーピングの応急処置を施してピッチに戻り、鈴木は勝利のために、大吾は同点に追いつくために、文字通り「死力」を尽くして戦った…

そして、激しい戦いは3-2で町田ゼルビアの勝利で幕を閉じた。

緊迫した攻防の続いた前半戦
激しい点の取り合いとなった後半戦
互いに全力、死力を尽くした激戦は、見る者を十分に感動させる好ゲームだった。

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ワールドカップのハイレベルな試合にくらべ、稚拙な試合かもしれない。しかし、レベルの高い・低いだけが「おもしろい試合」の物差しではない。見に来たファンの「心に残った試合」こそ、おもしろい試合であり、この日繰り広げられた熱戦こそ、好ゲームというのだろう。

さて町田だが、実はそれほどこの試合を意識していなかったものの、やはり「ダービーマッチ」という特別な舞台は、チームに大きな変化をもたらすこととなる。これまで失い掛けていた自信を取り戻すこととなり、さらには天皇杯シード獲得に向け、大きく前進させたのである。しかし、試合後の相馬監督は、これらの件よりも、「サポーターへの感謝」を強く語っていたのが印象的だった。

「なかなか結果がでなかったので『応援のしがいがない』という思いをさせてしまったと思っています。そんな中でも駆けつけてくれたサポーターのために、今日は勝利出来て本当に良かった。 …中略(町田オフィシャル掲載文と同じ)… 厳しい試合が勝てたのは、サポーターの後押しがあってこそ。今日のような「ともに戦う」という関係を続けてもらえるように、チームも頑張っていきます。そして、負けても応援してもらえるような、魅力あるチームにもっとしていきますので、よろしくお願いします」

そして最後に、監督のコメントよりも印象的だったのは、太田康介の試合後の涙だった。

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横河で過ごした3年間は、彼の中で忘れることの出来ない大事な時間…。
ザスパ草津でプロになるチャンスを逃してしまったが、プレーヤーとして「生きる場所」を与えてくれたのが横河武蔵野FCだった。ここでの3年間は充実した時間を過ごし、選手としての能力をさらに高めていった。その結果がJFLベストイレブン獲得に現れ、一時は諦めた「プロへの道」が再び開け、今回の町田への移籍と繋がっていった。

そんなこともあり、お世話になった「横河武蔵野」に関わる人、すべに「成長した姿」を見せたかった。そして、勝利という結果を出したときに、心の中にしまっていた「いろいろな想い」が涙となって出てきたのである。

ここまで来るのに、非常に苦労したサッカー人生だった。しかしまだ、彼の目標である「Jリーガー」というカテゴリーには到達していない。育ててくれた横河武蔵野、そしてチャンスを与えてくれた町田ゼルビアのためにも、自身の力で「4位以内」を是非とも勝ち取ることこそ、最高の恩返しなのではないだろうか?

太田康介の挑戦は、まだまだ完結しない…

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