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2010年6月28日 (月)

気温33.3℃の消耗戦

JFL 前期第17節 @浜川
アルテ高崎 0-2 V・ファーレン長崎
[得点者]
6分熊谷、84分宮尾(長崎)

キックオフ時点の気温33.3℃、湿度53%
先週の西が丘も強烈な暑さだったが、今週の浜川(高崎)はもっと暑かった…

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そんな中で、試合が行われてしまうのは、なんともJFLらしいところ。かつて、2008年にFC琉球の監督を務めていたジャン・ポール・ラビエ氏は、そんな試合日程(開始時間)についてこう、コメントしている。

「こんな気候、時間にプレーさせるなんて狂っているとしか思えない」

確かにそのとおりである。

しかしだ、Jリーグはともかく、JFLやそれ以下のカテゴリーでは、チームごとに置かれている経済状況や、地域にある競技場施設の違いがあり、昼間にしか試合を開催することが出来ないチームも少なくはない。まあこれについては、致し方のない部分でもあり、これを「どう乗り切るか」は、リーグ戦を戦う上で大事な要素というか、ある意味「名物」でもあるのだ。

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さて、上記のように、うだるような暑さの中で行われた試合だが、ともに中盤がフラットな4-4-2を採用するチーム同士の戦いであり、当初は「我慢比べ」が続くかと思われたが、長崎のファーストアタックが見事に先制点に結びついていく。

開始早々の5分、アルテはCKのチャンスを得たのだが、この場面でシュートを打てず、そのままボールを奪われてしまう。昨年までアルテに在籍していた杉山がボールを奪うと、自慢の縦への突破がチャンスを広げ、中央に動いていた山城→宮尾とボールが渡り、最後は熊谷智哉が右足で蹴り込み長崎が先制する。

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ピンチを凌ぎきり、それを見事に得点に繋げた長崎。これに対して、アルテとしては一番やってはいけない形、時間帯で失点してしまい、前節に続いてイヤな立ち上がりとなってしまった。この先制点を境に、試合のペースは長崎が握る事となり、アルテはなかなか前に出られない時間帯が続いてしまう。だが、攻撃の形は作れないものの、しっかりブロックを作って長崎の攻撃に対応するアルテ守備陣。「前節が悪かったから、守備の意識は徹底させていた」と後藤監督がコメントしていたとおり、守備に関しては修正ができていた。

早い時間帯で先制点を奪い、試合のペースを握った長崎だが、相手のブロックを破れないだけではなく、過酷な気候条件が選手の体力を徐々に奪っていき、序盤に出来ていた鋭い展開、攻撃が鈍りだしていく。結局のところ、当初の予想どおりの「我慢比べ」となっていくこの試合。試合開始時は33.3℃だった気温だが、試合中のピッチは35℃くらいまで上昇。完全にサウナ風呂状態と化したグラウンドで、完璧な試合を求めることは酷なことであった。

そんな状況もあり、前半は得点シーン以外はやや低調なパフォーマンスで終える両チーム。後半、どの時間帯で選手交代を行い、流れを変えて行くかがポイントと思われたが、先に動きを見せたアルテが後半のペースを掴んでいく。

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57分、58分と立て続けに石沢泰羅、松尾昇悟を投入するのだが、攻撃の起点となれる石沢が入ったことで、アルテの攻撃に躍動感が生まれだしていく。しかし、悲しいかな、アルテの選手にはGK以外に180cm台の選手はおらず、高さ、強さのある長崎センターバックに跳ね返されてしまう。

ちなみに、この日の長崎のセンターバックコンビは、藤井大輔に加藤寿一。年代は違えど、ザスパで活躍してくれた選手である。そして右サイドバックのスギタクこと、杉山琢也もザスパがルーツの選手であり、このディフェンスラインをみていると、懐かしくもあり、嬉しくもある顔ぶれが揃っていた…

まあ、余談はともかく、アルテは選手交代でゲームの流れを奪い返し、石沢と岩間が起点となり、攻撃の手を繰り出すのだが、藤井・加藤のセンターラインが安定していたこともあり、ボールはキープできてもバイタルエリア付近にはなかなか近づけない。

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対する長崎も、後半25分過ぎからほとんど動けなくなり、効果的なサイド攻撃や二列目からの飛び出しが少なくなっていく。やはり、この気候条件で激しい展開を続けることは難しい。試合後、杉山は「今日はバテました… さすがにキツかったです。本当はもっと(前に)行きたかったど、周りのフォローも無かったから難しかったです」と言うほど。こうなれば、相手の裏を狙った攻撃が一番効果的となっていくもの。

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そして83分、この日、最後まで精力的に動き続けた山本翔平がセンター付近で相手ボールを奪うと、間髪入れずに縦に走った宮尾に絶妙のパスを送る。GKがやや前に出ていたこともあり、宮尾はループシュートを選択し、これが見事に決まって待望の追加点を奪う。相手が前がかりに来だしたところで、奪って素速いカウンター。さらに時間帯は試合終盤。何もかもが、理想的な形。この後は、試合をこのままクローズさせるために、ベテランの佐藤由紀彦を投入。

まさか浜川で「ユキヒコ」を見られるなんて…

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いやはや、最近のJFLはなんとも贅沢な選手があちこちに散らばったものである。しかしこの大ベテラン、やはり「ゲーム」をよく知っている。冷静にボールをさばき、冷静に時間を使っていく。やはり、こういう経験豊かなベテランがチームにいることは非常に強みであるといえる。結局、試合はこのまま0-2で長崎がアルテを完封して、7勝3分7敗の9位の成績で前期を折り返すこととなった。(アルテは5勝3分9敗の14位)

さて長崎だが、私が見るのは都田でのHonda FC戦以来だが、チームとしての成長、安定感を強く感じさせた。中盤のメンバー構成はあの試合と一緒なのだが、システムをボックス型からフラットな中盤に変えたことにより、全体のラインがコンパクトになり、攻守の切り替えがスムーズになっていた。そして何よりも、「佐野流」を知る、杉山琢也が右サイドバックに定着したことは非常に大きい。

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また、タクのような仕掛けるサイドバックが定着したことで、中盤の熊谷、山城の動きも活性化され、確実に攻撃の選択肢が広がりを見せている長崎。また、1得点を挙げたFWの宮尾勇輝の成長も見逃せない。前期中盤は、難しい戦いの中で堪えきれず黒星となってしまった試合が続いたが、このアルテ戦のように、過酷なコンディション条件の中で、内容が悪くても「勝ちきれる」ことは大きな自信に繋がっていくもの。さて、前期の成績に関しては、開幕前の期待とは裏腹に、不満の残る結果であったかも知れない。しかし、4位〜9位までの勝ち点差は4しか開いてはいないので、決して悲観する事もないと考える。

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そしてアルテだが、これまで見ていた数試合で、好パフォーマンスを見せていたことから考えると、この日の内容はやや残念であった。チーム全体の雰囲気も先週からの流れを引きずってしまい、なおかつ、この日のコンディションが非常に過酷であったことが、より内容を悪くしてしまったっことは不運でもあった。しかし、後半は選手交代で流れをたぐり寄せた場面は、敗戦のなかで見えた光明であり、チームが成長している証を見せてくれた。あとは、どんな相手、どんな気候条件でも勇気を持って自分から仕掛けられるかが、後期の順位を上げるポイントになるはずだ。

まあとにかく、過酷な気候条件の中で戦った両チームに「お疲れ様」といったところ。

ちなみに次節からJFLは後期に突入するのだが、別に前期・後期で中断期間があるわけではないので、区別することはあまり意味はない。ということなので、世間はまだワールドカップ一色なのですが、次週も日本各地でJFLは開催しているので、暑い昼間なのですがぜひとも会場に足を運んでいただければと思います。

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