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2010年5月10日 (月)

現実を見せつけられたドロー

JFL第10節 @浜川競技場
アルテ高崎 2-2 松本山雅FC
[得点者]
2分山藤、57分一柳(高崎)
3分木島、78分石田(松本)

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「勝てる試合で勝ち点2を失ってしまった…」

これは試合後の松本山雅・吉澤監督のコメントであるのだが、果たしてそうだったのだろうか… 正直、この言葉に疑問を感じてしまった。

ここまで、3勝2分4敗、勝ち点11で11位につけている松本山雅は、2勝2分5敗、勝ち点8で16位のアルテ高崎と浜川で対戦。山雅を見るのは3節以来となるのだが、それ以降は2勝2分1敗とかなり持ち直してきているので、どう成長しているか楽しみでもあった。

さて、この試合だが、両チームとも相手と戦うだけではなく、90分間「別のもの」とも戦わなければいけない厳しい試合となってしまった。その「別のもの」とは、デコボコな上に非常に堅いピッチと、群馬特有の強い北風である。

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本当に芝生のグラウンドなのか?と疑いたくなるほど、変なバウンドをするグラウンド。芝がはげている、デコボコであるという部分は、見ている観客の方でもわかると思うが、ピッチ(芝生)の下に砂や砂利が混ざった構造ではないので、非常に堅い。さらには、まっすぐボールが飛ばないどころか、向かい風の場合はボールが押し戻されてしまうほどの強風が吹き荒れていた。

ある意味、最悪とも言えるコンディションの中で始まった試合は、スタートからモロに影響を及ぼすこととなる。

開始10秒でアルテが山雅ペナルティエリア外から、15メートルほど離れた位置でFKのチャンスを得る。キッカーは15番山藤。アルテにとっては向かい風となる中でのFKであり、一見不利なように思えたのだが、この強風が思わぬゴールを生み出してしまう。左足から放たれたホールは、向かい風の影響もありスピードが出ない。この時、GKの判断は頭を越えると予測したのだが、ボールは予想外に伸びず、枠を超えるどころかGK正面でワンバウンド。そしてそのままゴールマウスに吸い込まれていってしまう…

GKの石川も、DFの須藤も鐵戸もただ見送るだけとなってしまい、開始直後にいきなり失点(※記録上は1分台の得点だが、今季からのルール改正で公式記録はその時間+1分という表記になるので、この場合は「2分」となる)

まるで、キツネにつままれたような表情を見せる山雅の選手たち。しかし、その直後にロングボール1本で木島が抜け出し、相手と競り合いながらもシュートを放ち、これが決まってあっさり同点。

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開始1分で2点も入ってしまうという驚きの展開。
そしてどちらも「風」が影響した得点でもあった。

立ち上がりから両者が得点を奪い、点の取り合いとなる試合になるかと思われたが、その後は追い風に乗った山雅がペースを握り、4分に再び木島がシュートを放つと、それを合図に山雅の猛攻がスタート。10分には右サイドの鐵戸が中に入れると、柿本の絶妙なポストプレーにボランチの斉藤が飛び込んでシュート。わずかに上にそれたが、素晴らしい展開を見せる。そして15分、今度は小松のスルーパスに鐵戸が反応。GKと1 vs 1となるも、シュートは枠の外。立て続けに訪れた決定機を外してしまう。

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本来なら、こんな場面が続けば流れは相手に移ってしまうものだが、アルテは向かい風に苦しむだけではなく、ミスも連発してしまい、流れをたぐり寄せることが出来ない。そして32分、阿部が縦に突破してシュートを放つと、これがCKに結びつく。今度こそ決めたい山雅だったが、山崎のヘディングシュートは、またも枠の上。

ゴールへ向かう展開は悪くはないのだが、ここまで入らないと、この先が厳しくなる。前半は追い風が味方してくれたが、後半は逆。ロングボールなんかは、押し戻されてしまう程の強風が吹き荒れるコンディション。これは、後半キツイなあ…と予想したが、その通りの展開となってしまう。

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前半とは打って変わって守勢に回る山雅。アルテは高いラインを保ち、繋いでいこうとい意識を高めてきたこともあり、試合の流れは一気に逆転。50分にCKのチャンスを掴み、そこから連続して攻撃を仕掛け続け、57分、右サイドから石沢のクロスが入り、一柳が頭で合わせてアルテが勝ち越す。

ここでも山雅のディフェンスは不安定だった。1点目も2点目もどちらもGKとDFのポジションが中途半端。両方とも、GKとDFがシュート(クロス)を処理しようとはせず、棒立ちのままとなっていたのだが、誰かがしっかり声を出していれば、失点しなくても済んだと言えるはずだ。

2点目を奪ったことで精神的に余裕が出来たアルテは、攻撃の手をさらに強めていく。59分、62分と連続して決定機を作り出すが、GK石川のファインセーブで追加点は奪えない。なんとか流れを引き戻して、まずは同点にしたい山雅は大西、小松に替え、木村勝太、石田祐樹を同時に投入。正直なところ、この日の大西は存在感は薄く、小松との連携もイマイチだったため、妥当ともいえる交代だった。

この交代策で流れを掴めるかと思ったのだが、アルテの勢いと「風の力」を抑えるまでは行かず、吉澤監督は堪らず最後のカードを切る。ボランチの斉藤に替わって、小林陽介を投入。システムをどうするのかと思われたが、中盤がダイヤモンド型というか、北村のワンボランチの4-1-3-2ともいえる、攻撃的布陣に変更し、結果的にこれが同点ゴールを生み出すこととなる。

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78分、ゴール前正面25メートルぐらいの位置で石田がフリーでボールを受けると、意表を突くロングシュート。これが見事に決まってついに同点に追いつく。この場面だが、小林が入った直後のシーンであり、アルテのマーカー確認のズレが生じていたことが影響し、あの場面で一瞬石田をフリーにしてしまったのだった。

残り試合時間はロスタイムを入れて約15分。ここからは両チーム、ノーガードの殴り合いという感じの試合に変わっていくが、決定機だけで考えれば、アルテの攻撃の方が山雅を勝っていた。失点シーンでは若さが出てしまった石川だが、1 vs 1の場面では冷静な守りを見せ、アルテに決勝点を与えない。正直なところ、石川のビッグセーブが無ければ山雅は勝ち点1すら奪えなかったはずだ。

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試合はこのまま2-2のドローで終わったが、正直なところ山雅の良さよりも、アルテの粘り強さだけが印象に残る試合であった。

試合後、松本山雅・吉澤監督は冒頭にある言葉をコメントした。
確かに、Jリーグ準会員チームとなり、この先はとにかく勝ち続けてJリーグ昇格圏内に滑り込むことが一番の目標であることはよくわかる。さらには、リーグ戦はこれから上位同士の対戦が続くこととなるので、下位相手にはしっかり勝ち点3を積み重ねたかったところだろう。

そんな中で、吉澤監督だけではなく、選手、さらにはサポーターも、「アルテには勝てるだろ?」という、誤った発想を少なからず持っていた。

そしてこの結果である…

吉澤監督も、選手も、ピッチの悪さ、予想以上の強風に苦しめられたとコメントしたが、それは相手も同じ。やはり、山雅の選手に慢心があったことは否定できない。

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アルテの後藤監督はこのように語ってくれた

前半は向かい風だったから悪かったんじゃなくて、ウチが『うちらしさ』を出せなかったから悪かった。後半は風とか相手とかは関係なく、自分たちの繋ぐサッカー、そしてしっかり走りきるサッカーをしなさいとだけ伝えた。相手は全然関係ないよ。名前では負けてるけどね、ウチの選手は本当にサッカーが好きで一生懸命やっている。あとはね、経験だけなんだよね…。あの2失点目とかなんかは、相手の形が変わったばっかりだから、注意しなきゃいけない時間帯なのに、あそこでフリーにしてしまった。サッカーの質を高めることは出来るけど、経験だけは監督がいくら教えてもどうにもならないからねえ… いい試合してるから、1つ勝てば本当に変わっていくと思いますよ。

確かに、鳥取戦では0-3で敗れた以降、負けが先行しているものの、全て1点差ゲームと拮抗した試合を展開し続けている今年のアルテ。かつては、昇格組があったためにJFL残留できたシーズンもあったが、昨年、後藤義一監督就任後、アルテは本当に変わった。さすがにJクラブのユースチーム(横浜FC U-18)の監督だったこともあり、若い選手を育てる能力には非常に長けている。

チームをどう勝たせるかという戦術論ではなく、どう選手を伸ばして行くかを考えられる後藤監督の指導が今、アルテの選手たちを大いに成長させている。相変わらず、選手が置かれている環境は恵まれているとは言えないものの、かつての「JFLのお荷物」と呼ばれた頃の姿は完全に消えていた。これから先、対戦相手はアルテに対してナメでかかる、痛い目に遭うかも知れない。ここはぜひ、「大物食い」を期待したい。

さて、山雅についてだが、現状、アルテと引き分けたことを「ヨシ」と考えるのが妥当な試合でもあった。吉澤監督は「練習の中でシュートの正確性を高めていくしかない」ともコメントしたが、果たしてそれだけであろうか? J昇格を目指す上では、チームの実力を全ての面でもっとアップしていかなければ、4位以内到達は難しいと言えるだろう。そしてだ、「負けたら次はない」という戦いが続いた北信越や地域決勝を戦ったときの気持ちを、もう一度思い出すことが重要なはず。

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この日は、アルテの「ハングリー精神」の前にも気合い負けしていた。サポーターのダンマクにも「俺らは常に挑戦者」というものがあるが、この気持ち、もしかして、すでに薄れてはいないだろうか?

この気持ちを持ち続けてこそ、山雅らしさというものなのだが、これをしっかり取り戻せるかは大きなポイントである。

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