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2010年4月25日 (日)

大学界の「いばらきダービー」

関東大学サッカーリーグ 第3節
流通経済大学 0-1 筑波大学
[得点者]
87分小澤(筑波)

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試合前、流通経済大学・中野総監督は「筑波のオフェンスは、間違いなく今年一番ですよ」と語りながら、「ウチはどこまで耐えられるかが勝負ですよ…」とウソかまことか、なかなか真意が掴みにくいコメントを残してくれた。

今年の流経大だが、エースでありキャプテンの武藤雄樹がチームの中心であることは間違いないが、それ以上に2007年度に高校2冠を達成した、流経大附柏卒のメンバーがチームを形成する上で、欠かせない存在になってきている。

[流経スタメン]
ーーー征矢ーー武藤ーーー
フランクーーーーーーーー村瀬
ーーー中里ーー小島ーーー
竹石ー比嘉ー山村ー保戸田
ーーーーー増田ーーーーー

sub:白井、長浜、加来、関戸、上條、古川、高野

対する筑波大は、風間八宏氏が監督に就任して3年目の今年は、「勝負の年」と位置づけている。これまでの2年間の積み重ねにプラスして、意欲の非常に高い即戦力(新1年生)が入ったことで、「やれる」という手応えを感じており、連敗スタートとなってしまったが、それほど不安視をしていなかった。

[筑波スタメン]
ーーー瀬沼ーー赤崎ーーー
玉城ーーーーーーーー小澤
ーーー森谷ーー八反田ーー
原田ー谷口ーー須藤ー堀谷
ーーーーー増田ーーーーー

sub:乗松、石神、長沼、山越、中尾、上村、曽我

大学界の「いばらきダービー」と呼ばれる両者の一戦は、昨年こそ3-1、1-0で流経大が勝利しているが、過去には5-6や4-3といった、激しい点の取り合いを何度も演じている両者であるため、今日の試合の展開もどうなることやら…と、予想はつかなかった。

さて試合だが、両者落ち着いた静かな立ち上がりとなったが、そのままどちらがペースを握っているか、甲乙つけがたい試合となる。若干、筑波の方がサイドに展開してチャンスを作り出す回数は多いものの、決定機という面で考えれば流経大の方が上。

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ただ、気がかりだったのは、流経大の攻撃している時間のテンポが遅い事である。ボランチの中里から展開したあとの、プッシュアップがやや遅いことだ。これを試合後に選手や中野監督に聞いたのだが、「相手のカウンターを警戒したこともあり、前に出ることを一瞬ためらってしまった」とのことらしい。よく言えば「安全策」、悪く言えば「消極的」という姿勢が、苦戦の要因を作り出していったのである。

それでも、決定機を筑波よりも作り出したのは、スキルの高さを物語っているのだが、この日はエースの不調がすべてであった…。ことごとく訪れるチャンスシーンに顔を出す武藤だが、彼の放つシュートはどれもゴールネットを揺らすことができない。

後半に入ると、HTでの指示が効いたのか、流経大のペースで試合が動き出し、5分、左サイドでフランクがドリブル突破をはかると、筑波6番がペナルティ内で倒してしまい、PKを献上。

またとない絶好のチャンスを掴んだ流経大。

キッカーはPKを獲得したフランクではなく、エースの武藤だ。

しかし、ベンチはここで采配を迷ってしまう。中野監督は「あれ、絶対にはずすぞ」と言っていたそうである。しかし、このチームは「武藤のチームなのだから、彼で決められなければ仕方がない」ということで、キッカーの変更は指示しなかったそうだ。

そして武藤が放ったシュートだが、相手GKに完全にコースを読まれ、ストップされ、先制点をどうしても奪うことが出来ない。

不思議なもので、このPKストップから、完全に流れは筑波のペースに変わっていく。相変わらず中盤で効果的な押し上げができず、2列目からの飛び出しがないため、分厚い攻撃を仕掛けられない流経大。それに対して筑波は、全員がハードワークして、セカンドボールをしっかり拾って、サイドに素速く展開する。

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筑波の2トップだが、長身の瀬沼(2年)がターゲットマンとして体を張り、期待の1年生・赤崎がその周囲を精力的に動き回り、相手ディフェンスを攪乱。攻撃のリズムがよくなり、あとはゴールを奪うだけの筑波だが、流経大GK増田が好セーブを連発し、こちらも得点を挙げることが出来ない。

時計の針は、もうまもなく45分。このままだとドローか…と思った瞬間、1年生赤崎が左足でシュート。増田がセーブするも、こぼれ球に10番小澤が反応。これをしっかり詰め、土壇場で筑波が先制。先制というか、決勝弾である。

開幕前に高評価を受けたにも関わらず、結果を出せずに悩んでいた選手達。ここで負けたら本当に厳しくなる。しかし、選手は意地とプライドをかけて、ライバルとの試合に挑み、見事に今季初勝利を挙げたのである。

まるで、優勝したかのように喜びを表現する、筑波の選手達。

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たかが1勝、されど1勝
この1勝で、筑波は(良い方に)大きく変わっていくかも知れない。

試合後の、筑波・風間八宏監督は、やや厳しめのコメントを交えながらも、チームの成長にうれしそうな表情を見せながら、このように語った。

「はやく、だれでもいいから決めてくれ!という試合でしたね。相手に対して、特別に何も用意してこなかった。自分たちがやるべきことを、普通にやれば大丈夫だと思っていた。ただ、厳しい言い方かも知れませんが、失敗していいサッカーはあり得ない。ちょっとでもダメならすぐに替える。それが今日の交代でした。一つのミスでリズムが崩れることもあるし、ミスがあったら楽しくサッカーなんてできないでしょ? まあ、シュートなんかわさ、練習で10本入っても、試合では1本決まればいいところだよ。それにチームの質は本当に良くなってきている。後は試合をこなしていくことだね」

そして最後は、新1年生に対しての期待が語られた。

「彼らは人に言われてプレー(練習)するのではなく、自分たちで考えて取り組むことが出来る。僕は「やらせる」サッカー(練習)は嫌いなんですよ。でも、彼ら(1年生)は意欲が高いから、それが自分たちだけで出来てしまう。だからどんどん若い子(1年生)は上に出てくると思うよ」


さて、敗れた流経大だが、試合後の中野監督は、敗戦に対してはそれほどショックを見せなかった。

「開幕から2試合で5得点の武藤とて、毎試合ゴールを量産できる訳ではない。『調子はみずもの』なんだから。優勝するチームも、ここ数年は勝ち点50を超えてはいない。50を超えないということは、5敗までは十分『優勝圏内』なので、1敗したからと言っても、不安視してはいません。逆に、今日はもっと筑波さんにやられるかと思っていましたが、それなりに対応出来ので、よかったとも思っています」

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確かに今年の流経大は「武藤が中心」であることは否定しないが、多くは3年生が中心のチーム。苦戦が続いたとしても、それはそれで、今後への大きな経験となっていくはず。流経大附柏の「黄金世代」の実力はこんなもんじゃない。彼らなら、もっといい試合ができるはず。この1敗が、大きく飛躍するための1歩となることを願いたいところだ。

一般的に、いばらきダービーといえば、プレシーズンマッチとして行われる「鹿島 vs 水戸」だが、この関東大学サッカーリーグで行われる「ダービー」も、この名称がつけられており、なかなか興味深いものがある。さらには、お互いが同じ土俵にいることもあり、常にライバルとして注目しあう存在であるから、両者の対戦はいつもおもしろい。

ぜひとも、後期に行われるダービーも目にしたいかぎりである。

で、この日は第1試合(明治大学 vs 国士舘)もあったのですが、こちらはまた別の機会で紹介します。

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