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2010年4月26日 (月)

心に響いた「ひたむきさ」

JFL 第7節 @都田サッカー場
Honda FC 1-0 V・ファーレン長崎
[得点者]
48分新田(Honda)

第2節(3/20@カシマ)で見た以来のHonda FC。この日の対戦相手は準会員のV・ファーレン長崎ということもあり、都田へ向かった。

2節以降、Hondaの試合を見てはいないので、どんなチーム状況かわからないところだったが、前日(24日)の西が丘に、石橋前監督がスカウトにやってきていたこともあり、その場で話を伺った。

「今はケガ人ばかりでやりくりが大変です。そんな状況なので、選手もいろいろなポジションにチャレンジしている最中でして、チームとして固まるまでにはもう少し時間がかかるかも…」

確かに開幕4戦で1勝1分2敗と、やや苦しいスタートとなったHondaだが、その後は連勝で白星先行となったが、チーム事情はいまだに楽ではないようだ。

Hondaはおなじみの4-3-3システムだったが、中盤はワンボランチ(アンカー)をやめて、糸数-西のダブルボランチに変更していた。(大久保監督曰く、5節・ジェフリザーブス戦からとのこと)

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Hondaの「ウリ」と言えば、「弘大+新田+もうひとり(伊賀or細貝or川嶋)」の強力3トップである。この3トップを柱とした、超攻撃サッカーを目指すために、中盤の底にアンカー(ワンボランチ)を置くシステムを採用していたが、やは1枚では荷が重すぎた。対戦相手は、常にアンカーの位置を狙い撃ちした攻撃を仕掛けてきたこともあり、大久保監督もここに来てやっと決断したのだった。

 

さて試合だが、立ち上がりからアウェーのVファーレン長崎が猛ラッシュを仕掛けて、試合の流れを一気に掴んでいく。何よりもこの試合、「鬼軍曹・佐野達」が長崎をどんなチームに仕上げようとしているのか? が一番のポイントでもあった。

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そして長崎が見せた立ち上がりのラッシュこそ、佐野さんが求める攻撃的サッカーそのものだった。相手3トップに仕事をさせないために、両サイドバックにはどんどん上がれ!という指示を送り、特に左サイドの中津留は素晴らしい攻撃参加を見せる。かつて、「2点取られても3点取るサッカーをする」と言ったことは、ここでも変わりはなかった。

まったくもって「ブレない男」である(笑)

開始2分で1stシュートを放つと、これを合図に猛攻を見せる長崎。中津留-大塚の縦の連携が冴え渡るだけではなく、2列目から川崎なども飛び出しを見せ、Hondaゴールに襲いかかる。10分にはサイドチェンジしたボールが大塚に渡ると、そのままドリブル突破。中央で切り返しをみせ、DFのマークを完全に外したシーンは圧巻。しかし、惜しくもシュートは枠の上。その後も高いラインを保つ長崎がペースを握り、今季最高(佐野監督談)の滑り出しを見せる。

だが、残念ながら、今季最高の時間は、そう長くは続かなかった。

立ち上がりから、防戦一方のHonda。これがアンカー(1ボランチ)システムであったのならば、間違いなく失点していたことであろう。しかし、中盤の底が2枚いることで、アタッカーに対して早い寄せができるだけではなく、バイタルエリアのケアも可能となり、相手攻撃陣に最後の一手を打たせない。そして、踏ん張りどころで失点しなかったことが、この後のリムズを呼び込むこととなる。

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徐々に長崎のサイドアタックが弱まり出すと、今度はHondaの強力3トップが牙をむく。弘大、細貝が頻繁にポジションチェンジして、相手DFに的を絞らせない。最前線で体を張る新田。そのボールに絡む弘大と細貝。DFが中央に釣られてしまうと、開いたサイドのスペースに右SBの桶田がオーバーラップを繰り返す。あれだけ攻勢を誇っていた長崎だが、25分以降は自陣に釘付けされてしまう。

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完全に流れを掴みきったHondaは、やはり試合巧者であった。前半こそスコアレスで折り返したものの、後半の立ち上がりにセットプレーのチャンスを掴む。ここでGKがクリアしたボールに糸数が絡んで中に折り返す。そして、これを新田が冷静に左足でけり込んだ。

48分、Hondaがついに先制

どうしても追いつきたい長崎は、次々と交代策に打って出る。疲れの見え始めたアタッカー陣を交代してフレッシュな選手を送り込んだが、Hondaの堅い守りをどうしても崩せない。焦る気持ちからか、長崎の選手は連動というよりも、個人での突破ばかり目に付きだしてしまう。後半のポゼッションは明らかに長崎の方が上なのだが、どうしてもシュートまで持ち込めない。

それでも長崎は、必死に相手ゴールへ近づこうとする。だが、Hondaは相手が前がかりになればなるほど、懐の深いところを見せつけた。リードするまでに見せた3トップを柱とした攻撃サッカーから、しっかりと守りを固めた上で、狙い澄ましたカウンターに移行。まさに「勝ち方」を知っているサッカーであり、力の違いを見せつけた瞬間でもあった。

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結局、試合はこのまま1-0でHonda FCが勝利したが、試合後の長崎・佐野監督も「力の違い」を素直に認めていた。

「こんなもんですよ。序盤の入り方は良かったけど、失点してからが特に悪かった。あの時間帯に取れないところが、相手との力の差です。あそこで1点取れてれば、かなり違ったんだろうけど…。それとね、一人に頼るサッカーではダメ。練習で求めてきた繋ぐサッカーが出来なければ、Hondaには勝てませんよ」

だが、決して長崎の見せたサッカーが悪いものではなかった。試合の入り方、高いラインを保つ戦術、最後の猛攻などにおいて、佐野カラーは徐々にだが出てきており、今後の展開が楽しみなチームであることは間違いない。この日においては、「相手が悪かった」という感じでもあるのだから…

少なくとも、この日のHonda FCは流経大FC戦よりも断然良かった。そして、訪れた観衆の「満足度」も高かったはず。大久保監督はケガなどで、なかなかベストメンバーを組めない状況にある今、選手に「サッカーの原点」だけを求めたのである。

ひたむきにピッチを走る
ひたむきにボールを追う
シンプルにボールを繋ぐ

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難しい戦術は問わなかった。相手に対する策も特に練らなかった。しかし、選手は監督の言葉どおり、90分間、ひたむきにボールを追い、ひたむきにピッチを走り回った。そしてその結果が、この勝利である。監督は「はずかしい戦術ですよ」と謙遜しつつも、試合後に充実感を見せる選手の表情をうれしそうに眺めていた。

どんなに難しい戦術を取り入れて勝利しても、その勝利やプレーが観客の心に響かなければ意味はない。戦術論で考えれば、この日のHonda FCは稚拙だったかも知れない。しかし、観衆はひたむきに走り、ひたむきにボールを追い、全力ファイトする選手の姿に、試合後は惜しみない拍手を送っていた。

親会社(本社)の経営状況により、少しずつチームに暗い影響も及ぼし始めている。選手もケガ人続出で、台所事情は非常に厳しいものがある。そんなことが重なり、近年ではかつてのように「常勝」とまではいかなくなってきている。だがしかし、この日は「さすが」と思わせる試合を、Jを目指すチームの前で見せつけてくれた。

Honda FC
やはり「門番」と呼ばれるにふさわしいチームである。

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