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2010年1月 3日 (日)

狙い通りの攻撃で藤枝明誠が国見を撃破

第88回全国高校サッカー選手権 2回戦戦 @西が丘サッカー場
国見 1-4 藤枝明誠

「相手を『5バック』にしてしまおう…」

これが藤枝明誠の狙いであり、まさにそのとおりになった試合だった。

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さて藤枝明誠だが、選手権初出場とはいえプリンスリーグ東海では1部に所属し、全日本ユースも8強と確かな実力を持っているチーム。しかし、今大会はキャプテン・小川哲生が左足首ねんざのため欠場し、初戦の徳島商業戦もPK勝ちと、順風とは言えない状況の中で国見戦を迎えた。

対する国見だが、ネームバリューこそ圧倒的に上回るものの、2007年に小嶺前監督がチームを去った後は、全国の舞台どころか九州地区でも結果を残せていない。しかし、1回戦ではJ1神戸内定のFW有田光希を擁する北越に5-0と圧勝し、「名門復活」を賭けて2回戦のピッチに立った。

静岡らしい華麗なパスサッカーと、国見伝統の堅守速攻の対決は、1点を争うゲームになるかと思われたが、思わぬ展開が序盤から繰り広げられることとなる。

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まずは開始早々、鈴木周太がシュートを放つもポストに阻まれたが、その跳ね返りに13番飯塚祐樹が反応。これがそのまま決まって藤枝明誠があっという間に先制点を奪う。国見にとっては、悪夢のような早い時間の失点に、キャプテン野地諒平を中心とした国見3バックは制御不能となってしまう。さらに藤枝明誠は田村監督の狙い通り、両サイドアタッカーの鈴木、飯塚の積極果敢な仕掛けにより、相手両サイドを守備ラインに釘付けにし、文字通り相手を「5バック」にすることに成功する。

早い時間帯での失点で精神的にダメージを受けた国見。相手の猛攻に晒され、マークすらままならない状況に陥り、8分にはまたも鈴木の突破から完全に崩され、最後は中央で待っていた15番大山和早に押し込まれ、早くも2点差。続く12分は右SBの山本真也ロングパス1本から中央で待っていた大山が再び決め、試合を3-0とする。

両サイドが藤枝明誠の猛攻の前に最終ラインまで下げられ、攻撃の形どころか守備の形さえ失う大混乱状態となり、なす術のない国見。新しい「繋ぐ国見」を見せるどころか、攻撃の形すら作らしてはもらえず、最終ラインからロングボールを前線に送るだけの単純な攻撃に終始してしまう。

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シュートの本数だけは藤枝と変わらない7本を放ったものの、藤枝は国見の攻撃パターンをしっかり研究しており、バイタルエリア付近でのシュートを簡単に打たせず。前半は藤枝明誠が「完璧な形」で国見を圧倒して3-0のスコアで終えた。

後半に入ると、縦への攻撃を徹底してきた国見がペースを握り返し、後半15分には連続攻撃から国見が1点返す。その後も国見が試合の主導権を握り、試合の行方がわからなくなりそうになる。しかし、U-18日本代表DFの藤原賢土率いる藤枝ディフェンスが、ここから踏ん張りを見せ、追加点を与えない。すると後半27分、11番安東大介が起点となり、最後は飯塚がこの日2点目となるゴールを決め、リードを再び3点差として勝負あり。

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結局試合はこのまま4-1で終了し、藤枝明誠が3回戦進出を決めたが、この試合では藤枝明誠の各選手の「体格の良さ」が強く感じられた。体格の良さと言っても、「身長が高さ」ではなく、よくトレーニングされたことがわかる体の「芯の強さ」から感じた「体格の良さ」だった。かつて「体格の良さ」とは、徹底的なフィジカルトレーニングによって身につけた国見の専売特許のようなものだったが、藤枝の選手たちは新しい時代を感じさせる「体格の良さ」だった。

そして誰よりも目についたのは、この日ゴールこそ無かったが、藤枝の攻撃の起点として前線で体を張り続けたFWの安東だった。181センチと恵まれた体型を持つが、彼のポストプレーは自らの身長・体重よりもさらに大きく見せるほど、迫力のあるプレーで相手DFを圧倒。じつはケガのため、まだベストコンディションではないのだ。そんな状態でも、あれだけファイトできるFWには、十分将来性を感じさせた。

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さて、2回戦で敗退となった国見だが、「経験のなさ」が敗因といえるだろう。そもそも試合経験では、全国大会初出場の藤枝明誠の方が少ないのだが、現在のチームに限っては立場は逆。そしてその経験のなさ故に、序盤の失点からすぐに立ち直りが出来なかった。

名門復活を賭けて挑んだこの大会だが、まだそれには時期尚早だったのかも知れない。今年は例年に比べ2年生も少なくはなかった国見。この日の惨敗を糧にして、まずは九州のプリンスリーグ1部で経験を積み、来年の大会で本当の意味での「名門復活」を願いたい。

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