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2010年1月10日 (日)

思わぬ死闘となった準決勝

第88回高校サッカー選手権 準決勝
青森山田 2-2(PK3-2) 関西大学第一

昨日の準決勝第二試合は正直、なんと表現していい試合なのか…

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試合前から「ウチの選手よりもスキルは数段上」と関大第一高・佐野監督は、青森山田を評し、技術の差があることを素直に認めていた。しかし、「走ること、諦めないこと、気持ちを切らさない」という体力面や精神面では決して劣っていないことも強調していた。

優勝候補の青森山田、ノーマークの関大第一高という、対照的な両者の一戦は、まずは青森山田の高い技術が関大第一高を圧倒する。この日も椎名伸志-柴崎岳のボランチコンビが繰り出す多彩なパスワークは冴え、両サイドの三田、遠藤もおもしろいように突破を繰り返し、序盤から攻勢に出る。これに対し、関大第一高は自慢の走力と体を張ったディフェンスで対応。徐々に相手の動きにも慣れ出すと、1トップの久保を起点にカウンターから何度か山田ゴールを脅かすシーンも見られるようになる。

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だが、関大第一高の攻撃は、どうしても青森山田のように「線」にはなって行かない。やはり試合の主導権を握っていたのは青森山田であった。そして30分、試合のスコアがついに動き出す。関大第一高DF小谷が、ペナルティ内で相手選手を後ろから倒してしまいPKを献上。これをFW野間涼太が落ち着いて決め、青森山田が先制。さらに9分後、今度はキャプテン椎名が技ありの一撃を見事にゴール左隅に決め、前半のうちにリードを2点に広げる。

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後半も山田優勢という状況は大きく変わることはなかった。それどころか、前半以上に決定機は増えていたはず。しかし、追加点は結果的に奪えなかった。関大第一高必死のディフェンスがあったことは間違いないが、山田の決定力不足も否めないところだ。

攻めども追加点の奪えない青森山田。終盤はやや雑な攻撃も目立ち始め、さらには味方同士の距離間も前半と比べれば明らかに離れだしていた。後半35分以降の運動量は、完全に関大第一高に負けていたこともあり、無難に勝利を収めるために「キープ」という選択肢はあったはず。しかし、山田はキープすることなく最後まで攻める姿勢を選択。

だが、この攻め方はまずかった。フィニッシュまで行けず、ボールを奪われるシーンが目立ち始めていたのだ。足が止まりだした山田に対して、最後の意地を見せつける関大第一高。これこそ、関大第一高・佐野監督が試合前に言っていた「ラスト20分からが本当の勝負どころ」の真骨頂だった。そして後半44分、難しい角度でありながらも、エース久保が左足で決め、1点差に詰め寄る。

2-1となったところで試合はロスタイムに突入。
残り時間は3分と表示される。
だがこうなると、試合は関大第一高のものだった。

ロスタイム1分経過したときにFKのチャンスを得る。キッカーはGKの樫根。10人のフィールドプレーヤー全員は青森山田陣内で待ち受けっている。だがこのFKは相手GKのパンチングでクリアされたのだが、このボールを再び拾ってつなげるところで、再び青森山田がファール。

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またもやGK樫根がキッカーとなり、ラストの全員攻撃を仕掛ける関大第一高。だがここで奇跡が起こった。FKのチャンスから20番浅井がシュートを放ったが、これは相手がクリア。しかし、このこぼれ球に18番井村一貴が見事に反応。難しいダイレクトシュートだったが、見事に決まって土壇場で同点に追いつく。

後半44分からロスタイム2分台の3分間で同点に追いついた関大第一高。さらに時間はあと1分残っている。会場の雰囲気は、関大第一高が逆転してしまうのでは…というような感に包まれていた。そして青森山田は正直、棒立ちのような状態になってしまっていた。キックオフのボールもまたもや関大第一高に奪われ、本当に逆転されるのでは?と思ったが、さすがにそこまではいかず、2-2のまま前後半終了し、決着はPK戦に持ち越される。

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土壇場で追いついた関大第一高だったが、最後は青森山田GK櫛引政敏のスーパーセーブ連発の前に、準決勝で涙をのむこととなった…

さて、この試合を振り返ると、ある意味で「高校サッカー」らしい内容だったかとも感じる。

青森山田は途中までは、優勝候補にふさわしい内容を見せていた。しかし、時間が経つにつれてプレーがやや雑になりだし、相手に攻め込まれ1点を奪われ、最後は冷静さを欠くこととなり、結局は薄氷を踏むような試合となってしまった。

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逆に関大第一高は、大阪府予選を突破することすら難しいと言われたチームだった。しかし、近大付属などのライバルチームに競り勝ち、まさかの全国大会出場権を得ると、チームは飛躍的成長を遂げていた。今大会も初戦突破すると、八千代、藤枝明誠という強豪を次々と撃破。今年の8月には夢にも思っていなかった、国立競技場の舞台で試合をするまでになっていた。そしてその舞台でも自分たち「らしさ」を十分に発揮。OB会が寄贈した「月まで走れ!」の幕のとおり、最後まで走り続け、そして諦めない気持ちをもってプレーすることで、埋めがたいはずの「技術の差」を見事に克服したのであった。

本来なら、拮抗するはずのない両者の試合が、たった一つのプレーや。気持ち一つで思わぬ死闘となってしまうところなど、まさに「高校サッカー」ならではといったところであろう。

だが、この試合…
試合時間が40分ハーフの80分間であれば、関大第一高の同点劇はなかったといえるだろう。そして、延長戦が「もし」あったら、青森山田は本当に逆転されていたかも知れない。まあ、結局のところ、青森山田が後半に追加点を奪えなかったことが全ての原因であり、自分で自分の首を絞めてしまったような試合なのだが…。

しかし、関大第一高の驚異的粘りは、素直に賞賛すべきであろう。このチームの躍進は、「代表クラス」がいない、普通の高校でも十分やれるんだ!ということを示してくれたはず。逆に青森山田にとっては、初優勝を目指す上で、試合運びをもう一度見つめ直すことと、メンタルの大切さを、身をもってい知るいい経験になったのではないだろうか。

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