« 26年の時を経て… | トップページ | 高校サッカー準決勝/展開予想 »

2010年1月 8日 (金)

名将・横森巧、最後の挑戦へ

「山梨のサッカーを盛り上げるためにも、強いチームを作りたい」

その言葉と関係者の熱意により、一線の指導者から退いていた名将が、再び現場に戻ることとなったのは今から5年前のことだった。最初は山梨学院のアドバイザー的存在からスタートし、2006年から大学、高校、中学のすべてを見渡す「総監督」という立場へ変わっていく。そして今年から、正式に「高等部」の監督にも就任すると、全国大会初出場を勝ち取り、さらには26年の時を超え、国立競技場のピッチに舞い戻ることになった横森巧・山梨学院大学付属高校監督。

Img_7004

横森監督がこのチームに関わったときには、まさに「0」からのスタートだった。よい練習をする環境はない。強いチームに変える指導者もいない。そしてなによりも優秀な選手がいなかった。

環境は2007年に学校が人工芝グラウンドにクラブハウスを用意してくれた。首脳陣も横森監督の教え子でもある、元セレッソ大阪監督の塚田雄二氏や保坂孝氏が駆けつけた。あとは選手だけだったが、実はこれが一番の難問でもあったのだ。

新しい学校には実績がなく、選手も集まりにくい。さらによい人材はJユースに流れてしまうことも多くなってきていた。そんな中で、横森監督自身が各地を転々として、将来性のある選手に声をかけて行くこととなる。Jユースクラブ選考から漏れてしまった選手に対し、「3年間一緒にやろう」と説得し続け、その結果集まった選手たちが今の碓井であり、平塚だったのだ。

Img_6843

高等部強化2年目の2007年、全国大会まであと一歩…というところまで近づいたが、かつて横森監督が指揮した韮崎高校に決勝で敗れ、初の全国大会出場はお預けとなってしまった。しかし、翌年の2008年はインターハイ出場権を獲得し、2回戦(0-1桐光学園)で敗れたとはいえ、この経験が後に大きな財産となっていく。そして今年度は関東大会で優勝するなど確実に力をつけ、待望の選手権初出場へ期待が高まっていた。

そして今大会、初出場を果たしたが、初戦の相手は強豪・野洲高校だった。だが、ジュニアユース世代で大舞台を経験していた選手たちは、名将の下でたくましく成長していた。先制点を奪われても慌てることなくゲームを組み立て、野洲のお株を奪うようなパスサッカーで4-2と撃破。その後も楽なゲームは1つも無かったが、3試合連続無失点に抑え、たった1週間でチームは飛躍的に経験値を上げていったのだった。

このチームの中心といえば、キャプテンの碓井鉄平であることは間違いない。横森監督も「チームの心臓」と言うほどの選手で、かつて横森監督が育てた羽中田昌氏以上の逸材とも言われている。攻撃のコンダクターである彼からの多彩なパスやドリブル突破に注目が集まるところだが、彼と中盤でコンビを組む宮本龍の存在も見逃せない。攻撃に比重がかかる碓井に対して、黒子となりチーム全体のバランスを取る宮本。攻撃陣の活躍ほど目立ちはしないが、地味に仕事をこなす2年生は、将来性抜群と言えるはず。

Img_6951

さて、守備面を見ると4試合で失点は2。それも初戦の野洲高校戦での2失点以降、その後の試合では無失点に抑えている。山梨学院の最終ラインは、決して高さがある訳ではない。3番の関篤志のみ183センチだが、それ以外は全員170センチ台。しかし、最終ラインのリーダーである、中田寛人の判断力、統率力、そしてカバーリングの良さが冴え渡り、相手攻撃陣に対して、危険な地域でプレーさせていない。

後はケガのため、100%の状態で試合に挑むことの出来ない2年生エース、加部未蘭の回復具合が気になるところ。今のところ医師からは「25分ぐらいのプレー」限定とされているようだが、大一番を前にして名将はこの大器をどう使ってくるか楽しみである。

横森監督自身、試合後に「若い人に継いで欲しい」と発言するだけではなく「有終の美を飾りたい」とも語っており、監督して現場に立つのはこれが最後であることが確実視されている。文字通り、今回が「ラストチャンス」となる横森監督。松本暁司、古沼貞雄、小嶺忠敏などと並ぶ、高校サッカー界をリードしてきた名将が、最後の最後で「男」になれるのか…

さあ、運命の準決勝はもう、まもなくだ

« 26年の時を経て… | トップページ | 高校サッカー準決勝/展開予想 »

高校サッカー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/47239503

この記事へのトラックバック一覧です: 名将・横森巧、最後の挑戦へ:

« 26年の時を経て… | トップページ | 高校サッカー準決勝/展開予想 »