« 2009年11月29日 - 2009年12月5日 | トップページ | 2009年12月13日 - 2009年12月19日 »

2009年12月6日 - 2009年12月12日

2009年12月10日 (木)

ツエーゲン、刈谷に対し本領発揮なるか?

地域決勝大会が終了して4日経過し、今更…と思われますが「第3位」となったツエーゲン金沢について触れてみたいと思います。

結果はご承知のとおり、1次ラウンドが2勝1PK勝ちでトップ通過(勝ち点8)し、決勝ラウンドでは1PK勝ち、1PK負け、1敗で勝ち点3となり、滑り込みセーフでJFL17位のFC刈谷との入れ替え戦進出を決めた。

Img_5887

正直、金沢がここまで大苦戦するとは、まったく予想出来なかった。全社で見たときの金沢は「憎たらしいほど」の試合巧者だった。特に金沢にとっての大一番となったカマタマーレ讃岐戦こそ、真骨頂だったかも知れない。前半は讃岐のボール回しに手こずり、金沢はチャンスらしいチャンスを作れなかった。事実、前半のシュート数は讃岐の4に対して、金沢はなんと「0」。しかし、これこそ金沢の狙いでもあった。

前半はまず相手の出方を伺い、慎重に試合に入っていく。守備に関しては、この大会随一と言えたCBコンビの諸江、込山が抜群の安定感を見せ、劣勢でありながらも、危険な場所でのシュートは打たさない。前半は金沢の思惑通りスコアレスで進み、後半に入ると効率的かつ、鮮やかな「一撃必殺」で讃岐を苦しめる。CKなど、数少ないチャンスに諸江が見事な決定力を見せ、2-1で讃岐を振り切った。

Img_4198

この試合、いい試合をしたのは讃岐である。両サイドで展開し、ボランチが次々と前線に顔を出す。さすがはバルセロナで指導者としての資質を磨いた羽中田監督が指揮を執るチームだけあると感心させられた。だが、試合で勝利したのは金沢である。試合の6割以上は金沢陣内で行われ、チャンスらしいチャンスは得点シーン以外、ほとんどなかった。しかし、絶対に勝ち抜かなければならないトーナメントにおいて、「理想の展開」は無用の長物でもあった。必要なのは「最も確実に勝てる戦い方」であり、金沢はその戦い方を実践していたのだ。

ただ、金沢が全社を通して、全て「ドン引き」だったかと言えばそうでもない。4-1-4-1システムを採用し、攻めるときはしっかり攻め、守るときはガチガチとメリハリのある戦い方を実践していた。そんな試合を見たからこそ、地域決勝は松本、金沢のワンツーフィニッシュか?とも予想していた。

だが、ご存じのとおり、決勝リーグでの金沢は、全社での輝きを見せることがまったく出来なかった。

特に決勝リーグでは精彩を欠き、最終戦も試合終了間際にかろうじて追いつき、なんとか滑り込みセーフで3位に「入り込んだ」という言い方が正解だろう。しかし、なぜ全社と地域決勝では違ってしまったのか? 選手がプレッシャーを感じ、実力が発揮できなかったことも一理ある。そしてもう一つが、全社には「あって」、地域決勝に「なかった」こと(人)があったのだ。

Img_4415

そう、根本とコンビを組んで、左サイドを駆け上がる園田清次の存在である。彼は7月に新加入し、北信越リーグは第13節からの登場だったため、地域決勝大会には出場資格がなかったのである。地域決勝は2007年大会から、約3分の1の試合数を当該チームに在籍している選手のみ、登録資格が与えられるレギュレーションに変更されており、園田は残念ながら、この規定にひっかかり、地域決勝には出場出来なかった。彼一人でチームの勝敗に影響するのか? と言われれば必ずしもそうではないが、今大会では根本がオーバーラップして、チャンスを作り出すシーンが全社に比べて少なかった。本来であれば、根本と園田が自由自在に入れ替わり、左サイドを制圧し、それと連動して古部の動きも冴え渡る…、というのがいい時の金沢である。

園田という一つの「ピース」が欠けたことが、苦戦の原因であったと監督は言わなかったが、どうしても全社と比べればその点が大きく気になった。たった一人の選手かも知れないが、それが「いるか」「いないか」で大きく変わることもある。だが、刈谷との入れ替え戦は「JFL主管」のため、地域決勝の選手登録は適用外になり、園田の出場は可能となるのだ。

現時点では、JFL後半戦に入ってやっと本領発揮してきた刈谷と、地域決勝で不甲斐ない戦いをした金沢では、断然刈谷有利と予想する人の方が多い。

しかし、ホーム&アウェーの1発勝負はやってみないとわからない。刈谷の方が格上であるが、天皇杯での刈谷と「北信越勢」の戦いは、2回とも北信越勢が勝利している。JFLと地域リーグというカテゴリーの差はあれど、この両者の実力差は「紙一重」と言ってもいいだろう。

J1-J2の入れ替え戦が無くなってしまった今、ある意味で最もスリリングな試合となることが予想されるこの試合。注目の園田だけではなく、金沢の諸江にとって、「古巣」との対戦になる。かつて戦力外にしたチームに「リベンジ」を果たせるのだろうか?

_b246931

この対戦、今から非常に楽しみである。

2009年12月 9日 (水)

佐野達、Vファーレン長崎へ

気になっていた佐野さんの去就は、J2昇格を目指すJFLのV・ファーレン長崎の監督に内定と発表された。当初オファーのあった横浜Fマリノスコーチではなく、JFLを選んだのは佐野さんらしいと感じた。

正直、今年のトップチーム指揮官としての評判は、決して芳しいものではなかった。全員攻撃、全員守備の「トータルフットボール」を掲げてスタートした佐野ザスパ。開幕3連勝という、J2・5年目で初の開幕ダッシュに成功したが、その内容は決して完勝と呼べるものではなく、実は危険と背中合わせの状態でもあった。

Jlg09251_073

今季は「2点取られれば、3点取り返す」という攻撃的なサッカーを目指し、左SBに本来FWの小池純輝を抜擢。攻撃面では大きな成果を挙げ、貴重な決勝弾を叩き込んだ試合もあった。しかし、右の佐田聡太郎とともに、どちらも攻撃的SBであり、守備面ではリスキーだったことを否定できない。攻撃を重視するのはいいが、どうしても守備面でCBとボランチに大きな負担が掛かってしまったのだ。

さて、昨年同様、ポゼッションを高め、中盤でしっかり繋ぎ、魅力ある攻撃サッカーを展開するサッカーが今年のザスパが目標であったが、第1クール途中で早くもそのパスサッカーは相手に警戒(研究)され、起点となる櫻田、松下を自由にさせない戦術を仕掛けられると、途端にザスパの調子が下降していく。

相手に警戒され、思うように自分たちのサッカーが出来ないザスパ。しかし監督は警戒されようが、自分の信念を曲げることなく、当初のスタイルを貫き通す。そんな中で徐々に選手との溝が深まり、玉乃のように公然と采配に疑問を口にする選手も現れる。第2クール以降、チーム内に微妙な空気が流れ出したのだ。

8月に入っても調子は上がることなく1勝1分4敗と負け越し、9月初戦の徳島戦では先制したものの、最後の最後で追いつかれる後味の悪いドローで終わり、 第38節・熊本戦を迎えるのだが、この試合がザスパの未来を大きく変えることとなる。

試合は退場者も出していないにもかかわらず、0-6の大敗。いくら松本での開催とはいえ、ホーム開催である。大事なホーム開催でありながら、言い訳のできない完敗を喫したことで、植木GMは佐野監督の退任をここで決断する。そして選手たちにも心境の変化が訪れる。

監督の指示ではなく、選手間で守りの約束事を徹底させたのだ。これまでのイケイケのパスサッカーから、やや慎重な形をとり、守備に回ったときに2ラインのブロックを形成する戦術を自分たちの意志で採用。ここに佐野監督が目指す攻撃サッカーと、選手たち独自の守備意識がミックスされ、やっと今年のザスパの形が生まれる。その結果は、9月20日の第40節以降、チームは7勝1分4敗と安定した成績を残して今季の全日程を終えた。

結果的に「佐野ザスパ」は数字上こそ過去最高の18勝を挙げたが、試合内容やチームの成長度という点では、2008年の植木最終年を超えられなかった。佐野さんは2005年から2年間チャレンジャーズチーム(サテライト)を指揮し、その後2年間コーチとしてチームに関わり、満を持しての監督就任で、当初の期待は大きなものだった。しかし、その期待の大きさゆえに、サポーターの失望もまた大きかったことも、また事実である。大半のサポーターは、今季の佐野采配に疑問を持っていたのだから…。

しかし、この1年の結果をもってして、佐野達が指導者として「不的確」であると、決めつけるのはどうかとも感じる。佐野監督の目指すサッカー理論が決しておかしい訳ではない。また、1年目、2年目のチャレンジャーズチームを指導していた時の佐野さんは、まさにカリスマであった。そして彼の育てた櫻田、後藤の2人は今やザスパの中心選手として成長しているのだから、コーチとしての結果は悪いものではない。

Dsc00024

また、この他にも杉山(アルテ)、佐藤(長野)、樋口(引退)の3人をJリーガーとして送り出し、高向(佐川印刷)、大田(横河武蔵野)など、JFLで活躍する選手も育てた。そして今年は高卒新人の佐藤穣をレギュラーに抜擢。その後は草津から初の年代別日本代表(U-18代表)に選ばれるまでに成長し、U-23からの昇格組である有薗慎吾にはチャンスを与え、彼はそれを見事活かしてCBのレギュラーの座を獲得。

今から5年前、初めて草津町にやってきた佐野さんに、なぜ「ここ(サテライト)」に来たのか?と私は質問をぶつけた。そして帰ってきた答えがこれだ。

「サッカーを教えるだけならどこでもできる。しかし、ここはサッカーを教えるだけではなく街(草津町)の人と共に生活することが義務づけられており、選手としてだけではなく『一人の社会人』を育てることが出来るので、ここでの生活(指導者として)を選びました」

佐野さんという人は、かつてザスパ発足当時の奥野監督(現鹿島ヘッドコーチ)のように、草津の人から愛された。元日本代表選手であり、このザスパに来る選手から見れば、エリート街道を歩んできた人だ。それが無名の選手たちと一緒に雪かきをしたり、軽トラックに乗り込みグラウンド整備をし、時には石拾いにライン引きなど、普通、監督がやらないであろうという雑用を、文句ひとつ言わないでこなしていた。

Dsc00071

そんな指揮官が目の前にいたからこそ、チャレンジャーズの選手たちも「礼儀」はしっかりとしていた。最後の「弟子」となった有薗も、草津で1年半働きながら頑張ってきた。そんな選手だからこそ、佐野は人一倍目を掛けていたのだ。そして、12月5日の最終戦会見で出た言葉は、「チャレンジャーズでの2年間が一番の思い出だった」と…。

だが、トップチームの監督業は、残念ながら「結果」だけでしか判断されない。J1昇格が目標のチームで10位という順位では、契約満了も致し方ない。ザスパも今や「J1昇格」が合い言葉となるチームに成長した。佐野さんのサッカーは、正直なところ植木遺産をベースに、「都倉」という切り札を乗せ、マイナーチェンジしたに過ぎなかった。チームが「上」を目指す以上、「違う血」がそろそろ必要だったのかも知れない。

Jlg09387_202

さて、佐野さんの今後ですが、最初に書いたとおりJFLのV・ファーレン長崎の監督に就任です。はっきり言って、横浜Fマリノスのコーチになる方が安定(収入面でも)しているはず。それでも指導者として常に挑戦していきたい気持ちが、この決定をさせたといえるだろう。

確かにザスパでは「失敗」に終わった監督1年目。しかし、長崎から「佐野達の逆襲」が始まるかと思うと楽しみでなりません。長崎というチームも、これからのチーム。そんな「育て甲斐」のあるチームなら、鬼軍曹が気合いを入れまくって、ガラリと雰囲気を変えてくれるはず。

Dsc00122

熱血漢・佐野達第2章を、これからも見守っていきたいと思います。そして長崎の皆さん、周りが言うほど佐野さんは「ダメ指導者」ではありません。そして誰よりもサポーターを大事にする方ですので、気軽に声をかけてみてください。

2009年12月 7日 (月)

地域リーグ決勝大会・決勝ラウンド最終日

「2度あることは3度ある…」なのか
「3度目の正直…」となるか?

山雅にとって、JFL昇格へ3度目のチャレンジとなった今年の地域決勝大会。個人的予想では、今年こそ「本命」と予想していた。そして、その予想の根拠は全国社会人大会にあった。

Img_6150

正直、2回戦(vs FC岐阜Second)、ベスト8(vs UVA-FC)の大苦戦を見せられた後に待ち受けた、パルセイロとの最終決戦は、山雅の圧倒的不利と言わざる得ない状況だった。しかしだ、あの厳しい2試合を勝ち抜くことで、山雅は非常に逞しくなっていたのである。スマートに勝ち抜いたパルセイロ。泥臭く勝ち抜いた山雅。

そんな対照的とも言えた両者の対決は、誰も予想もしなかった一方的な試合となり、ライバルであるパルセイロに引導を渡して、山雅が地域決勝出場権を獲得した。

また、チームを変えたもう一つの大きな要因は、やはり天皇杯にあった。2回戦でJ1浦和を2-0で下した試合は、「松本山雅」という名前を一気に全国区としたのである。あの試合以降、吉澤監督も「あきらかに相手からマークされる存在となったが、それと同時に選手に『やれる』という自信が生まれていった」とコメントしている。

とにかく、今年の山雅は過去2年間以上に「ラストチャンス」という思いが強かった。そんな時に浦和に勝利して、全社でも薄氷を踏みつつも、勝ちきれるチームに変貌していた。そう、その時点でどんなチームよりも「経験値」を高めることに成功していたのだ。

迎えた今年の地域決勝・1次ラウンドは圧巻の成績で勝ち抜き、ついに「壁」だった関門を突破。そして決勝ラウンドは「関東vs北信越」という構図の中でも、やはり負けない試合を展開。金沢がYSCCにPK負けしたことで、3戦目を戦う前に「JFL昇格」を決めていたが、チームは「優勝して終わろう」と、高いモチベーションで「決勝戦」のピッチへと立った。

Img_3850

全社ベスト8と同じ顔合わせとなったこの試合は、両者にとって「決着戦」でもあった。あの時は延長まで戦い抜いて1-1で、辛くもPKで山雅が勝利しているが、最高の場面で再戦が組まれたのである。

さて関東2位の日立栃木UVA FCだが、ここ2年の成長は目覚ましく、Jリーグ入りを目指すチームではないものの、安定した試合運びを見せる好チーム。正直、決勝リーグに残った4チームの中で、UVAと山雅の力が抜けていたことは間違いないだろう。

そんな両者の対戦は、今年の地域決勝大会の「トリ」を飾るにふさわしい試合となる。両者とも戦術が浸透し、パススピード、パスの正確性、プレスの早さなど、どれをとっても「地域リーグ以上」の力を見せてくれる。そんな中でも、山雅は持ち味である両サイドが活発に動きチャンスメーク。対すUVAは奪ってからの素速い展開で、何度も山雅ゴールに迫る。

一進一退の攻防が続く中、前半14分にパスカットから森田が中央を突破して、走り込んだ前田が合わして全社同様、UVAが先制点を奪う。すでに2日目の時点でJFL昇格を決めていたUVAだが、やはりこちらも「優勝」を狙ってガチで挑んできていた。

Img_6012

またも「UVA先制」で、全社と同じ展開か?と思われたが、山雅はあの時と違って焦ることはなかった。右の木村、左の大西が何度も揺さぶりを掛け、チャンスを広げていく。そして前半22分、またも右サイドの木村が突破して、中央にラストパス。ここに反応したのは、なんと左サイドの大西。見事な飛び込みで、あっさりと同点ゴールを奪う。

同点となったあとも五分五分の展開が続いたが、その均衡を破ったのはまたも山雅のサイドアタックだった。今度も右サイドを起点にチャンスを広げ、最後はゴール中央の小林が合わせて、山雅がついに逆転。試合は結局このまま2-1で山雅が勝利して、勝ち点7として最高の形で「地域リーグ」を卒業することとなった。

で、山雅の試合内容もさることながら、感服させられたのがスタジアムの雰囲気。この日の第二試合の観客動員数は、なんと10965人。いくら無料とはいえ、地域リーグですよ? 日本の4部ですよ? あんなサポーターがいたら、チームが強くならなきゃダメですよ。正直、観客動員の少ないJ2クラブのコアサポが見たら、「やばいなあ」と思うほど(悪い意味ではなく)。チームがいくらいい選手を集め、強くなっても応援してくれる人がいなければ意味はないのだから…。

Img_6169

そういう意味では、山雅はとても恵まれている。あのサポートは、もう4年前から雑誌などでも書いていますが「地域レベルではない」素晴らしいサポートである。昨日はそれを再認識させてもらいました。

そして長野県の「やる気」をとても感じました。まず、地域決勝の舞台を招致してくる県協会のやる気。そして地域リーグでありながら、TVで生放送してしまうNHK長野放送局。試合後に、会場だけではなく、市内でも号外を出した信濃毎日新聞。まあ、これまでの地域決勝大会では、ありえない光景がいくつも飛び出した大会でした。

ここまで熱い(厚い)サポートを受けた山雅。2年間足踏みしてしまった分を取り返すためにも、「1年でJFL卒業」を目指して欲しいものである。

そして山雅のシンボルでもある「雷鳥はJ頁(頂)を目指す」のダンマクのように、1年でもはやくJで見たいチームだ。

地方にも浦和とタメを張れるチームがあることを、1年でも早く全国に知らしめて欲しいですな。とにかく松本山雅FC、日立栃木UVA-FCの両チームには、来季のJFLでの健闘を期待します。

あと、ツエーゲンについてはまた後日…

« 2009年11月29日 - 2009年12月5日 | トップページ | 2009年12月13日 - 2009年12月19日 »