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2008年9月14日 - 2008年9月20日

2008年9月18日 (木)

天皇杯1回戦  阪南大学 VS FC岐阜SECOND

明日に繋がる敗戦

天皇杯1回戦@長良川球技メドウ
阪南大学 1-0 FC岐阜SECOND

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 この日の長良川メドウには、J2リーグのFC岐阜と同じユニフォームの選手たちがピッチに立っていた。しかし、彼らはJリーガーではなく、岐阜県リーグ・2部で戦うアマチュア集団の、FC岐阜SECONDの選手たちである。2年前にFC岐阜Bチームという名前でスタートし、現在はサテライトチームという位置づけのもと、トップで通用する選手の育成と、4年後に迫った岐阜国体に向けての強化指定チームという、2つ顔を持ち合わせていた。

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 全員がアマチュア契約のため、昼間は通常の仕事に就いているSECONDの選手たち。そんなチームの中には、元はトップチームに所属していた選手や、ほかのJクラブでプロだった選手なども含まれている。東海→JFL→J2とチームのカテゴリーが上がるにつれて、選手の入れ替わりが激しくなって行く中で、トップからもれてしまった選手たちの「受け皿」という側面も担っていたのだ。

 また、背番号10を背負っている元愛媛FCの中村豪も、今はアマチュア選手として昼間はトップチームのマネジャーとして働き、夜は選手として練習に励んでいる。普段のリーグ戦(県2部)では、土のグラウンドでの試合が多いSECONDチームにとり、この天皇杯は久しぶりに良い環境で出来る試合であり、自分たちの力をアピールする絶好の舞台でもあったのだ。

 さて、今回の天皇杯出場チームの顔ぶれを見ると、シードチーム以外の大半はJFL、大学、地域リーグ所属となっている。それ以下のカテゴリーから、大会出場権を得たのは、青森山田高校(青森)と大津高校(熊本)、県リーグで戦う玉穂FC(山梨)、海南FC(和歌山)、FC岐阜SECOND(岐阜)の5チームしかない。特にSECONDチームはFC岐阜の下部組織ではあるものの、大会出場チーム中、最も低いカテゴリー(日本の7部に相当)から出場権を得たチームでもあった。全て格上との対戦となる天皇杯初戦の相手は、総理大臣杯で準優勝を飾っている大阪府代表の阪南大学に決まった。

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 この阪南大だが、近年は多数のJリーガーを輩出しており、関東の流通経済大学と並んで大学サッカー界に新風を吹き込んでいるチームの一つだ。夏の総理大臣杯では準優勝に終わったが、今季の関西大学リーグでは首位を独走し、その実力は高く評価されている。サンフレッチェ広島ユース時代、平繁(現広島)とツートップを組んでいた木原や、浦和レッズが獲得を目指す野田などのタレントを擁し、激戦区大阪を勝ち抜いてきた阪南大。通常は学生vs社会人の対戦といえば、学生が社会人の胸を借りるのが一般的だが、Jクラブのスカウトも注目する強豪校ゆえに、アマチュアのFC岐阜SECONDがどこまでやれるのかに期待が集まった。

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 注目されたプロを目指すアマチュア軍団だが、相手は今年の大学界きっての強豪校であり、大方の予想では阪南大有利の予想がされていた。そして試合はその予想どおり、阪南大自慢の攻撃力で相手を圧倒。木原、小寺が次々と左サイドを攻略し、SECONDの右サイドバックの鈴木は守備に奔走することとなる。阪南は前線の動きだけではなく、ボランチの位置に入った中濱の動きも素晴らしく、完全にゲームを支配していた。SECOND自慢の攻撃陣である、松江、櫻田、中村らの動きは影を潜め、守備陣の踏ん張りだけが目に付く展開となってしまう。

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 だが、プロ予備軍であるSECONDも黙ってはいない。前半こそシュート3本と完全に相手攻撃陣の気迫の前に押し込まれたが、後半に入ると両サイドバックのオーバーラップも生まれ、徐々に試合の流れを取り戻す。だが、SECONDにとって、「これはいける」と思った瞬間に落とし穴が待っていた。76分になんでもないクロスの処理をGK曽我部巧がファンブルしてしまい、これを詰めていた木原が蹴りこみ、痛恨の失点を献上してしまう。この後、SECONDは攻撃の選手を次々と投入するものの、阪南の落ち着いた試合運びの前に同点弾を奪うことが出来ず、全国の舞台での1勝をあげることなく大会を去ることとなった。

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 試合後、自らのミスに責任を感じ、涙に明け暮れていた曽我部の姿が印象的であった。しかし、この日会場に訪れたサポーターは、曽我部を責めることなく、力強く選手全員を励ますのであった。

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 彼らサポーターにとってSECONDの選手たちは、トップの選手が忘れてしまった「ひたむきさ」を常に持ち続けており、なんとも応援したくなる選手たちなのだ。挫折も経験した雑草軍団であるSECONDチームの天皇杯はここで終わってしまったが、彼らにとってこの90分間は大きな経験となったはず。この先には大分国体出場や、残されたリーグ戦が待っている。そして2012年に行われる岐阜国体へと繋がっていくSECONDチームは、休む間もなく進化を続けることだろう。

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2008年9月17日 (水)

天皇杯1回戦 四日市大学 vs Honda FC

天皇杯1回戦@鈴鹿スポーツガーデン
四日市大学 1-3 Honda FC

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 鹿島アントラーズの優勝で幕を閉じた前回大会。しかしこの大会で話題をさらったのは優勝した鹿島より、Jクラブを立て続けに破り、ベスト8に進出したHonda FCではなかっただろうか? さて、今年のHondaだが、この快進撃に満足することなく、「自分たちから仕掛けて勝つチームになろう」というスローガンのもと、今季から採り入れた4-3-3システムを引っさげて、年に一度しかないJリーグと対戦に繋がる天皇杯に挑んできた。

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 そんなHondaが大会初戦を迎えたが、その相手は練習試合でも対戦したことのある、三重県の四日市大学だった。手の内を知ることもあり、Hondaの石橋監督も簡単な試合にはならないだろうと予想していたが、そのとおりの展開となってしまう。序盤からゲームを支配したのはHondaだったが、先週のJFL公式戦(横河武蔵野戦)のリプレーを見るかのような、決定力不足を露呈してしまい、四日市大学の逆襲をたびたび受けることとなる。そしてこのチャンスを次々と生み出した選手こそ、今年の正月の高校選手権で、津工業をベスト4にまで導いた、1年生の松葉司だった。

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 津工業時代、「三重のマラドーナ」と呼ばれ、卓越した攻撃センスを見せていた松葉。彼が右サイドでボールを受けると、会場は大きな期待に包まれ、その声援に応えるがごとく、躊躇なくドリブル突破を仕掛け、マッチアップするHondaの左サイドバックの牧野泰直を自陣に釘付けにする。さらに15分には、再び右サイドを破り絶妙のクロスをあげ、これをゴール前で待っていた金城友弥が見事に頭で合わせ、四日市大学に待望の先制点が生まれるのだった。選手権前までは、進路すら決まっていなかった松葉だが、この瞬間、まぎれもなくピッチ上で一番の輝きを放っていた。

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 まさかの失点を喫してしまったHondaだが、冷静さを失うどころか、ここからすぐに修正をしてきたところはさすがである。失点するまでは人の動きが少なく、2列目からの飛び出しもほとんどなかったが、失点により目が覚めたのか、序盤以上に圧倒的な攻勢にでる。38分には連続攻撃から、早坂良太がついにゴールをこじ開けて、ゲームをまずは振り出しに戻して前半を折り返す。2列目からの飛び出しや、サイドバックのオーバーラップが生まれだすと、Hondaの逆転は時間の問題かと思えたが、四日市のGK・扇本雅史がファインセーブの連発で、何とか追加点だけは与えない。

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 守備陣の奮闘が、攻撃陣の目を覚まさせ、少ないながらもシュートチャンスを作り出す四日市大学。圧倒的攻撃力を誇るHondaに対しても、引き気味にならず、コンパクトなラインを保ち、真っ向から戦う姿を見せ続ける。しかし試合が終盤に差し掛かると、学生と社会人という、圧倒的な体力的な違いが如実に現れだす。足をつる選手が続出し、相手の攻撃について行けなくなる場面が続出する。すると、Hondaの将来を背負ってたつ若きエース・早坂が、逆転、ダメ押しと立て続けに決め、本人いわく高校以来というハットトリックを達成して、勝負を決定付けたのであった。

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 終わってみれば3-1でHondaが順当に勝利したこの試合。しかし、シュート、24本で3点だけというのはいただけない。石橋監督もさすがに内容に関しては不満をもらし、今日の出来ではとてもではないが、Jクラブには勝てないだろうと口にした。アマチュアの雄だからこそ、高い目標や志で大会に挑んでほしいもの。この日の戦いは、簡単な試合はひとつも無いということを、改めて教えてくれたはずであり、来週の2回戦では、今週とは違うHondaを見せてくれることを約束してくれた。

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 さて、敗れてしまった四日市大学だが、キャプテンの大島淳は「持ち味は出せた」と、敗戦の中にも手応えを感じ、晴れやかな表情で会場を後にした。そして輝きを見せた松葉は「高いレベルの中で、ドリブルを仕掛けてチャンスを作れた事は大きな自信となった。そして自分はサッカーが好きなので、将来的にはぜひ”上”でやりたい」と、静かな口調ながらも、自信のこもった言葉で語ってくれた。最強アマを前にしても、自分の能力を見せつけた彼ならば、3年後の進路が今から楽しみであり、将来が楽しみな選手がまた一人誕生したといえるだろう。

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