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2008年9月7日 - 2008年9月13日

2008年9月12日 (金)

明日から天皇杯が始まります

今年の天皇杯も、いよいよ明日からスタートです。

 さてこの天皇杯、歴史と伝統をもつ大会でありながら、ここ数年はある意味、軽視された大会でもあった。一部のJクラブにとっては優勝争いや降格争い、そしてJ2でも昇格に絡むチームにとって、勝ち抜くことで過密日程となり、選手のコンディション不良になることを恐れて、選手を入れ替えて戦い、下部リーグのチームに敗れてしまうことも少なくはなかった。

 Jクラブにとってみれば、所属する選手をどのように使おうがチームの自由である。そう、世界各地で当たり前の「ターンオーバー」であり、本来否定されることではなのだが、あまりにもあっさり負けてしまっては、批判されても致し方ないところだろう。さて、上記に「軽視された大会」と書いたが、これはJクラブ側の選手起用だけの問題ではなく、協会側の不用意な発言も、大会の権威に疑問付をつける一因となってしまった。

 昨年ACLとの過密日程のなか、ナビスコカップで大幅にメンバーを変えて試合に挑んだ川崎フロンターレに対して、サッカー協会からメンバー構成について、クレームがつけられた。協会側は「最強メンバーを揃えて試合に挑むのがクラブの正しい姿勢である」とクレームをつけ、それ以降にターンオーバーのあり方の是非まで問われることとなった。

 しかしこれから1ヵ月後の天皇杯3回戦、4回戦においてJ1、J2のチームが次々と初戦で敗れたときには、当時のサッカー協会・会長だった川淵氏は、このとき敗退したチームが大きくメンバーを変えていたことに対しては不問とした。冠スポンサーのついたナビスコカップでは、問題となった選手起用だが、天皇杯では会長自ら「問題ない」と発言していたが、歴史あるこの大会に対して、協会はどう考えているのか…と激しく疑問に思うのだった。

 

 あまり喜ばしくない話題でしか、大会序盤は盛り上がらなかった昨年の天皇杯だが、ひとつのチームがこの大会を大きく盛り上げることとなる。JFLのHonda FCが快進撃を見せ、2004年のザスパ草津以来のJFLからのベスト8入りを果たしのである。かつて東京ガスがベスト4入りを果たしているが、当時のJFLは現在のJ2に値しており、国内3部リーグとなったJFLは、なかなかベスト16の壁(Jクラブの壁)が敗れなかったのである。

 

 東京ヴェルディ、柏レイソル、名古屋グランパスを立て続けに破り、その実力を見せ付けたHonda FC。ベスト8では優勝した鹿島アントラーズと対戦し、延長までもつれたが惜しくも0-1で敗れてしまった。JSL時代から長い歴史をもち、かつてJリーグが発足する際には加盟を打診されたほどの実力をもつが、チームの事情、自治体の反応などからJリーグ入りを断念した過去がある。

 それでも目標を見失うことなく、毎年強いチームを作り上げ、アマチュア日本一の栄冠と、年に一度のJクラブとの対戦が出来る天皇杯のために頑張ってきたHonda FC。昨年は自分たちはここまでやれる!という手ごたえを掴んで大会を去ったが、今年は最初から「Jを倒すため」に、チーム作りを進めてきたのである。

 

 しかし、某サッカー誌の天皇杯出場チーム紹介を見たけれど、ホント今季のHondaをみたことあるのかなあ?という内容だった。今年のチームは4-4-2ではなく、前からプレスをかけて、自分たちから仕掛ける4-3-3をキャンプから進めているんですが…(笑)。基本、Hondaと対戦するJFLチームは引いて来るので、どうしてもかみ合わない時もあるけれど、Jクラブを相手にしたときの4-3-3は今から非常に楽しみである。

 

 順当に行けば、3回戦でJ2の鳥栖、4回戦でJ1の大分との対戦になるのだが、勝負は水物なので、本当にそのとおりにうまく行くかはわからない。しかし、チームは「この日」を目標にしてきたので、この対戦にたどり着くことを、信じている。そして明日は大事な大会の初戦であり、今私はその会場である鈴鹿に向かっております。

 ということで会場で、石橋監督と天皇杯談義をしてこようと思っております。

 最後に、全国各地にJを目指すチームがいくつも生まれたことから、天皇杯という大会が非常に面白くなったと感じます。かつて地方のチームはあっけなくJFLやJ2のチームに敗れていましたが、今や地域のチームがジャイアントキリングを達成することも珍しくはありません。今回取り上げたHonda FCの他にも、流通経済大学、松本山雅、福島ユナイテッド、ホンダロック、カマタマーレ讃岐、FC岐阜セカンドの試合なども注目のチームと言えるだろう。

 ホント最近は地方にもおもしろい試合はたくさんありますので、ぜひ天皇杯1,2回戦は会場に足を運んで、未来のJチームの第一歩を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか?

2008年9月 9日 (火)

2008北信越リーグ最終節 AC長野パルセイロ vs 松本山雅FC

2008北信越リーグ最終節@南長野競技場
AC長野パルセイロ 1-0 松本山雅FC

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今年も最終節まで優勝争いがもつれた北信越リーグ。
最終節の組み合わせは
AC長野パルセイロ(1位:勝点32) vs 松本山雅FC(4位:勝点24)
ツエーゲン金沢(3位:勝点27) vs ジャパンサッカーカレッジ(2位:勝点31)
となっており、パルセイロは勝てば文句なし、引き分け、負けでもJSCの結果次第では優勝という中で迎えた最終戦。

 しかし、この最終戦のカードは組み合わせの皮肉から、なんと「3番勝負」という形で実現することとなってしまった。8月17日・全国社会人大会・北信越予選決勝、8月31日・天皇杯長野県予選決勝と続き、どちらも2-1というスコアで1勝1敗となっていた。山雅からすれば、この試合はリーグ戦の順位とかではなく、プライドを賭けた試合であり、パルセイロにとっては「ダービー」とかではなく、とにかく「勝利」を求められる試合となった。

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 先週はやや様子見という感じのスターティングメンバーだったパルセイロだが、やはりこの試合にはバドゥが考えるベストメンバーを揃えてきた。対する山雅は攻撃にアクセントをつけられる川田和弘が出場停止であり、若干の不安を持ちながらのスタートとなった。前半に風上を選択した山雅のキックオフで始まった試合だが、川田不在が影響したのか、風上の利をまったく有効に活用できないままに試合が進む。

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 いや、川田不在が決して原因ではなかった。先週とはうって変わって素晴らしい出だしを見せたパルセイロ。何よりもこの日は貞富信宏が輝いていた。相手の起点を押さえるだけではなく、自らも積極果敢に攻撃参加して、何本も惜しいミドルシュートを放っていく。またFWの一角である佐藤大典はストライカーとしてではなく、for the teamの動きでチームに貢献。とにかく前線からの守備に奔走し、労を惜しまない動きが山雅の攻撃を前から食い止めていた。

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 躍動感あふれる動きを見せる3トップ。積極性を見せる貞富。バランサーとして中盤を支える土橋宏由樹。そして最終ラインで相手を完封した籾谷真弘、丸山良明、小田竜也の3バック。ほぼ完璧といえる内容で前半を優位に進めたパルセイロは、42分、小田のロングスローをキープした藤田がペナルティ内で倒されてPKを獲得。そして土曜日の練習後、居残りでPKの練習をしていた要田勇一がスポットに立った…。重くのしかかるプレッシャーもあったが、チームを昇格させるためにやってきた彼は、迷わず右足を振り抜いた。絶対に「勝つ」という願いを込めたボールはゴール左隅に吸い込まれ、待望の先制点がパルセイロにもたらされた。

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 満員(3385人)の観衆を飲み込んみ、ほぼパルセイロサポーター一色となった南長野競技場は、応援のヴォルテージも一気に最高潮に達した。しかし、反対側に陣取った山雅サポーターも逆転を信じて大きな声でサポートを続ける。正直、ここまで会場全体が熱くなる地域リーグの試合が他にあるだろうか? 実力のKyuリーグ(九州)、人気「だけ」の北信越と言われてきたが、2001年以降決勝リーグに進めず、枠を「2」にすることのできない北信越はそういわれても仕方がない部分もあった。だがこの日の盛り上がりを見せられて、そう簡単に言い切ってしまっていいのだろうか? パルセイロも山雅も苦しい3年間を過ごして、その間に年々チームは強くなり、そして地域の人たちの理解が大きくなっていた。勝った、負けただけではなく、地域に根ざしてここまで動員が出来るチームや試合が他にあるだろうか?

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 後半風上に立つパルセイロが、さらに試合を有利に進めるかと思われたが、全く逆の苦しい展開となってしまう。優勝だけを狙いながら4位という、不本意な順位が確定してしまった山雅。しかし、終盤にやっと本来のパフォーマンスを出せるようになり、この最終戦もしっかり勝って気持ちよく天皇杯、そしてこの先の全社に挑みたいという意志があった。前半は攻撃に絡めなかった坂本史生、阿部琢久哉、今井昌太が、次々とサイドを突破してチャンスを作り出す。試合の流れを奪い返し、まずは同点にしたいところだったが、籾谷・丸山・小田の3バックが大きな壁となって立ちはだかる。高さとフィジカルで勝る籾谷。ベテランらしい落ち着きと読みで相手の攻撃をシャットアウトする丸山が、バイタルエリアに簡単に進入させない。

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 優位な時間は続くが、シュートを打てない山雅。あれだけボールをキープしながらシュートは3本のみで、決定的だったのはCKからこぼれ球を矢畑智裕が放った1本だけだった。前半は素晴らしい出来を見せたパルセイロだが、後半は山雅の気迫と優勝へのプレッシャーから、いい試合とは言えない内容となってしまった。だが、そんな内容でもしっかりと無失点に抑えて勝ったことは評価に値するだろう。

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 昨年山雅のキャプテンだった土橋は、今年のチーム(パルセイロ)をこう振り返った。「去年も強かったが、一度悪くなってしまうと修正できなくなるところを見せていた。しかし、今年は常に一定のパフォーマンスを維持したり、修正ができるようになった」と語る。チームの強化すべき点をピンポイントで補強して、さらなる上積みを得た今年のパルセイロ。籾谷をコントロールして、若手の良さも引き出し、さらにベテランの読みで守備の安定をもたらした丸山。貞富の負荷を減らし、中盤のバランサーとして活躍した土橋。最後の最後で獲得した元Jリーガーのノグチピント。どれも見事な補強となったのだ。

 しかし、もう一つの補強も忘れては行けない。それは薩川コーチの存在である。フリューゲルス、レイソルなどで活躍し、現役を引退した後に指導者となり、今年からこのチームに加わった。イランやコスタリカで代表監督として指揮を執ったバドゥと選手の間に立つ潤滑油として抜群の働きを見せ、さらには守備面、メンタル面で選手たちの能力を飛躍的に向上させることに成功した。こんな補強を断行したフロントの「確かな目」が優勝に繋がったと言えよう。

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 結果的に前半に得たPKでの1点を守りきり、パルセイロが勝利して3年ぶり3度目の優勝を飾った。逆転優勝の望みが残っていたJSCだが、2-3でツエーゲンに敗れ今年も悲願達成はならなかった。こうして地域リーグ決勝大会にはパルセイロが北信越代表として挑むことになったが、JSCと山雅には「全社経由」での道がまだ残されている。

 この日だけではなく、今年4回行われた「信州ダービー」はどれも素晴らしい内容であり、素晴らしいサポートがあった。この戦いは北信越だけの戦いでは非常にもったいない。ぜひ、「全国リーグ」に戦いの場所を移して続けて欲しいものである。そう、パルセイロも山雅も揃ってJFLに昇格してほしいと願うのだ。

 互いから見れば絶対に負けたくない相手であり、時には「潰れてしまえ!」とも思うことがあるだろう。かつて山雅の指揮を執った辛島氏は、「長野県に2チームは無理なのでは?」というニュアンスの言葉を残したが、それに対しては私は疑問が残る。敵あってこそ、もうひとつのチームは伸びるもの。ライバルがあるから、成り立たないという理論はある意味、最初から勝負を捨てているようなものである。ライバルが間近にあるからこそ、互いに切磋琢磨して努力すればいいことなのだ。

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 どちらかひとつ…。ではなく、できれば両者とも上がってほしい気もする。JFL、Jリーグで「信州ダービーは凄いんだ!」というところをぜひ、全国に知らしめて欲しい。そしてパルセイロはまず、全国への挑戦権を獲得した。次は山雅の番と言えるだろう。そのためには、全社で優勝(もしくは準優勝)するしかない。山雅にとっても悲願であるJFL昇格には、5日連続の超ハードスケジュールを勝ち抜かなければこの先への道が閉ざされてしまうこととなる。だが、終盤に目の覚めた山雅なら、もしかして?を実現出来るかも知れない。

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そして全社の決勝戦で、今季5度目となる信州ダービーが実現したらいいなあ…、なんてことも考えてしまう訳でして(笑)

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最後にひとこと。
AC長野パルセイロ、優勝おめでとう!

2008年9月 7日 (日)

JFL 後期第9節 横河武蔵野FC vs Honda FC

JFL 後期第3節@西が丘サッカー場
横河武蔵野
FC 0-1Honda FC

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 国体予選、天皇杯予選、天皇杯と、実はこの時期結構過密スケジュールとなるJFL。そんな中で約3週間ぶりにリーグ戦が行われた。その中でも今週は、この横河 vs Honda、栃木SC vs カターレ富山という興味深いカードが組まれていた。


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 さて、先日行われた栃木 vs Hondaという12位の直接対決で、Hondaが底力を発揮して栃木を破り、勝ち点差をついに1にまで詰めてきた。昨シーズンは天皇杯でこそ好成績を残したが、リーグ戦では不本意な5位で終わり、今季はリーグ制覇と天皇杯の上位進出を目標に掲げてシーズンに挑んでいた。そしてチームの目標のひとつである天皇杯が近づくにつれ、勝負強さが戻ってきたのであった。

 この日の西が丘は、久しぶりに真夏を思い出させるような暑さの中の試合となった。だが33.7度という気温と、両者絶対に負けられないという意識が、前半の戦いを消極的なものにしてしまう。やや引き気味の横河に対して、なかなかボールがトップに収まらないHonda。全体的にボールの蹴り合いに終始してしまい内容的にも乏しい前半で終わってしまった。


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 しかしHondaは後半から3トップの布陣を右に柴田、中央に早坂、左に新田という形に変更し、鈴木弘大を一列下げた位置に配置してきた。すると柴田を起点にHondaの攻撃が鋭さを増すこととなる。二列目でのキープする時間が増えると、両サイドバックの桶田、小栗のオーバーラップも効果的に生まれてくる。前半はどっちつかずの展開だったが、後半は完全にHondaがゲームを支配することとなる。


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 さらにHondaは64分に切り札である吉村を投入。システムをこれまでの4-3-3から4-4-2に変更し、交代出場で入った吉村が左サイドで抜群の働きを見せるのであった。完全に左サイドを破られてピンチの連続となる横河。それでも瀬田、小山、大田が体を張って守り、ゴールだけは割らせない。そしてまもなくロスタイム突入という時に、連続でコーナーキックのピンチをまたも迎えてしまった。

 

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 一度は右サイドのタッチに逃れたが、すぐさまのリスタート(柴田のロングスロー)から、川島が繋いで中に入れたボールに、ディフェンスが反応し一度はクリアするも、それを吉村に拾われてこれを鈴木弘大にラストパス。決して簡単なボールではなかったが、躊躇なく左足を振りぬくと見事にボールはゴールに吸い込まれていった。またもロスタイムに劇的なゴールが生まれたHonda。正直なところ、この日の出来は決していいものではなかった。それでも勝ち抜けるところはさすがであり、最後まであきらめない気持ちの強さがあるからこそ、ここ一番で決められるのだろう。

 さて、これで暫定だがついにHondaが勝ち点を54として栃木を上回り、首位に躍り出た。あくまでも今日の結果次第でまた2位に戻る可能性もあるが、やはり本命が来たという感じである。リーグ戦と平行して天皇杯も戦うこととなる、厳しい日程の時期にさしかかるが、ここからがHondaの強さが出てくる時期と言えるだろう。

 余談だが、この試合では先日のSBSカップでU-19日本代表の一員としてプレーした、村松大輔がスタメン出場し、落ち着いたプレーを見せてくれた。将来性抜群のCBの成長はとても楽しみでもあります。久しぶりに期待できるディフェンダーの登場となりそうである。

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