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2008年10月20日 (月)

高円宮杯第19回全日本ユースサッカー選手権・決勝

高円宮杯第19回全日本ユースサッカー選手権・決勝
浦和レッズユース 9-1 名古屋グランパスU-18


 何はともあれ、「凄い試合を見せてもらいました…」というのが、この試合の素直な感想であろう。それぐらい、この日の浦和の攻撃陣の出来は良かった。というか、今大会で一番の出来だったかもしれない。恐ろしいほどの破壊力を見せた攻撃陣に、大量得点を奪った後も集中を切らすことのなかったディフェンス陣。どちらも素晴らしいパフォーマンスを、決勝戦という大舞台で見事に見せてくれたのだった。



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 さて、9失点という、およそサッカーとは思えない失点を喫してしまった名古屋グランパスU-18だが、決して弱いチームではなかった。準決勝のFC東京U-18戦を見た後で、この決勝戦の得点差を予想することは出来るはずもなかった。それぐらい名古屋は準決勝で会心の試合運びを見せていたのだ。しかし、いくらJクラブの下部組織とはいえ、まだ高校生である。決勝という大舞台、さらには本来中立であるはずのスタジアムは、相手にとって「ホーム」であり、そんな中でのいきなりの失点で、完全に自分たちのサッカーを見失い、そして最後まで修正することは出来なかったのである。

 

 試合は開始4分に、山田の個人技から生まれた先制弾によって動き出す。いきなりの失点で浮き足立ってしまった名古屋は、原口、高橋、阪野の変則的3トップと、中盤で変幻自在に動く田仲、山田の動きを全く止めることができない。ボランチに入った浜田から田仲に一旦預け、そこからダイレクトで素早く左右に展開し、原口と高橋が縦の突破を試みる。この流れるような展開を止めることの出来ない名古屋。キャプテンの磯村がなんとかチームを落ち着かせようとするも、局面は変わらず16分、23分にも失点を喫して早くも3-0となってしまう。


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 しかし、3-0となった時点で若干レッズのペースが下がり出す。30分を過ぎたあたりから、磯村からのチャンスが徐々に生まれ、期待のアルベスにもボールが入るようになる。そして39分には、右サイドに開いたアルベスがDFをかわしてクロスを入れ、これに奥村が合わせてまずは1点を返す。


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 しかし、この1点で再びレッズ攻撃陣が目を覚ますこととなる。43分、44分にも追加点を奪い、なんと前半だけで大量5得点をあげ、試合の行方をほぼ決定づけるのだった。そんな状況のなか、なんとか立て直したい名古屋は、後半から3トップに移行して、なんとか一矢報いようと攻撃的姿勢をさらに強くする。だがこれは諸刃の剣でもあり、中盤が一枚少なくなった名古屋は前半以上に浦和の攻撃に晒されることとなる。


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 結果的には後半も4得点を奪い、トータルで9得点。さらに山田はハットトリックを達成し、逆転で得点王を奪う「おまけ」までついてきたのだった。正直、名古屋も守備的に行けば、こうまで失点を重ねることもなかったであろう。しかし、ここまで得点差がつく中で、守るより自分たちらしさを求めて、最後まで攻撃的に行こうとした姿勢は賞賛できるといえよう。

 

 試合後の名古屋のキャプテンである磯村や、アルベスはともに、決勝の舞台に飲み込まれてしまったことと、浦和の段違いの強さを素直に認めていた。だが彼らはこうも付け加えた。「クラブユースではFC東京に4-8で惨敗したが、この大会ではきっちりリベンジしました。だから次のJユースでは、絶対に浦和にリベンジしたい」と強く誓っていた。

 

 元々前評判の高くなかった今年の名古屋U-18だが、負け試合を経験することで彼らは成長してきた。そしてこの大舞台での屈辱的大敗は、必ずや彼らをもう一回り大きく成長させることであろう。これまでは「FC東京にリベンジする」ことが目標だったが、この先は「打倒浦和ユース」という目標に向かい、さらに精進してくれることだろう。

 

 さて、優勝を飾った浦和ユースだが、大会前から注目されていたトップチームデビュー済みの原口、山田、高橋の3人だけではなく、各年代の日本代表経験者を揃え、レッズユースの「ゴールデンエイジ」と言ってもおかしくない豪華なタレントを擁していた今年のチーム。春先には「今季最強のチームでは?」との声も高かったが、クラブユース、プリンスリーグでは相次いで敗れ、優勝という結果を残すことは出来なかったのだ。


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 高い評価を得ていたものの、勝ちきれないチームに対して、選手たちは苦難の日々を送っていた。他のチームがうらやむほどの陣容を揃えながら、結果を出せないユース戦士たちは、いつしか自分たちの持ち味である、自由で楽しむサッカーを見失っていく。そんな時に堀孝史監督ほか、経験豊富な指導者やトップチームの選手たちがアドヴァイスを贈り、そして熱いハートを持ったサポーターに見守られて徐々に「金のタマゴ」たちは、自分たちの本当の力に目覚めるのであった。

 

 そして迎えた全日本ユース。Jユースだけではなく高校チームも加わり、ユース年代最強チームを決めるこの大会に賭ける意気込みはどのチームより強いものがあった。苦しんだ時があり、それを支えてくれた人たちに対して、恩返しのの気持ちを表現しようと挑んだこの大会は、彼らにとって特別な意味を持っていたのだ。そんな思いもあり、チームは試合ごとに次々と成長を見せ、悲願のタイトルを遂に獲得。だからこそ、試合後はレギュラーも控えも関係なく、チームが一つになって、ピッチに歓喜の輪ができるのだった。そして若き「赤い戦士」に対して、埼玉スタジアムの観衆も大きな拍手で迎え、感動的なフィナーレを迎えた。


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 さて、圧倒的な強さを見せて優勝を飾った浦和ユースの選手たちには、心から「おめでとう」という言葉を捧げたい。しかし、試合後にレッズの藤口社長は、彼らに対して祝辞とともに、こうも注文を付けたのである。「優勝は喜ばしいことであり、6年前から始めた下部組織の充実がやっと実りを見せたといえるだろう。しかし、彼らはプロを目指す選手であるのだから、このチームだからいいパフォーマンスを見せられるのではなく、どんなチーム(例えばトップチーム)に入っても、個性を出せる選手に成長してほしい」とコメントを残した。

 

 確かにその通りである。しかし、誰もが素晴らしいスキルを持ったレッズユースの選手たちならば、必ずやこの先も成功を掴んでくれるだろうと感じるのだった。

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