インターハイ準決勝・流通経済大学付属柏高校 vs 佐賀東高校
インターハイ準決勝・駒場スタジアム
流通経済大学付属柏高校(千葉第一) 2-0 佐賀東高校(佐賀)
◆普通のチームでも戦えることを証明した試合
これまで九州と言えば、長崎の国見、福岡の東福岡、熊本の大津、鹿児島の鹿実などが有力校として知られ、これらの県は強豪地域と呼ばれるようになっていた。そんな九州地区にありながら、若干遅れを取っていたのが佐賀県である。だが、冬の選手権でも佐賀北が健闘するなど徐々に全国レベルの力を付けてきていた。そして今大会、満を持して佐賀東高校が乗り込み、見事ベスト4進出を果たし、決勝進出をかけて「王者」である流経柏に挑むのであった。
今大会の佐賀東には、流経の田口泰士、城西の大迫勇也のような飛び抜けた選手は存在してはいない。だが、その一人に頼るのではなく、全員で連動してカバーしあうサッカーが実を結んだことで、この大会は勝ち抜いてきた。基本システムはオーソドックスな中盤がボックス型の4-4-2。一番シンプルな形である。高いラインを保ち、前からのプレスをかけ、両サイドの早い崩しでチャンスを掴む佐賀東の攻撃パターン。そしてこの日もその攻撃は流経柏に対しても大いに通用し、互角の展開を繰り広げるのだった。
前半は両サイドを広く使った攻撃の前に、全くと言っていいほど良さがでない流経柏。たまに反撃に出るが、それも久場の個人技による突破のみで、連続攻撃とは繋がらない。逆に佐賀東は桃井宏和、中原秀人からの展開や突破で次々とチャンスが生まれていく。まさかの展開で劣勢に立たされた流経柏だが、斉藤孝裕、馬場勝寛らのディフェンスラインが体を張って守り抜き、前半はなんとかスコアレスで折り返す。
前半に引き続き、後半も良い流れで入りたかった佐賀東だが、いきなりの一撃でこのあとのゲームプランが乱れてしまう。後半3分、久場を起点に右に大きく展開し、それをダイレクトで左に戻した時には、14番吉村は完全にフリーとなっており、難なくゴールを決め流経柏が先制。この一点で前半はバラバラだった流経柏の攻撃に、「流れ」が生まれるようになってくる。この日は中盤ではなく、FW(1.5列目)で出場した田口も、前半は相手の厳しいマークの前にさっぱりの出来だったが、後半に入ると本来のキレのある動きを取り戻し、攻撃の起点として十分に役割を果たすこととなる。
そして残り5分を切った後半25分、右からの久場のセンタリングに対して、田口が迷わず左足を振り抜いて、見事な一撃を決め試合を決定づける2点目をたたき出した。前半こそ全員の運動量で上回った佐賀東が優位に進めたが、目の覚めた後半は流経柏の独壇場だった…。前半の佐賀東を上回る運動量で、次々と攻撃を仕掛ける姿は、去年2冠を達成した先輩達の姿とだぶるようだった。
試合後の田口は「先輩たちを上回るにはこれ(インターハイ)を取るしかない」とみんなで話し合っていました…と語った。3月の時にはこのチームはどうなってしまうのか…と言われたチームが、今は目標の頂点まであと一つのところまで上り詰めた。あの時からは想像できないような、力強く王者の雰囲気を漂わせるチームに成長したのである。あと一つ(1勝)で年をまたいで「3冠達成」となる流経柏だが、準決勝終了時点で本田監督は「やはり千葉対決で…」という言葉が笑顔で出たのだった。
敗れてしまった佐賀東だが、基本技術とチームワークさえあれば、全国でも立派に戦えることを照明したと言えるだろう。また蒲原昌昭監督はこんなおもしろいコメントも残した。「田舎のチームだから、最初はみんなナメてかかったり、観衆もナメて見るのですが、ちょっとおもしろいプレーをすると、おおっ!という歓声があがるんですよね、その歓声が私たちの快感だし、やる気に繋がるんですよ」と語った。サッカー後進の地と呼ばれる場所は、まだ全国各地にあるのだが、この佐賀東の快進撃や目指すスタイルは、全国の高校生や指導者に必ずや共感を呼ぶことだろうと実感した試合であった。
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