« 天皇杯1回戦  阪南大学 VS FC岐阜SECOND | トップページ | 天皇杯3回戦 ザスパ草津 vs 徳島ヴォルティス・セカンド »

2008年9月24日 (水)

天皇杯2回戦 流通経済大学 vs ソニー仙台

天皇杯2回戦 笠松運動公園競技場
流通経済大学 2-3 ソニー仙台

--------------------------------------------------------------------------

 1回戦で大勝したソニー仙台と、苦しい戦いの末、勝ちあがった流通経済大学(以下流経大)との試合となった笠松での2回戦。この両者といえば、共にJFLで戦っているチームであり、互いの特徴をよく知る相手と思われたが、そうはいかない部分もあった。ご存じの方も多いだろうが、流経大は所属部員を1〜6軍までに分けており、1軍が関東大学リーグ、2軍がJFL、3軍が関東社会人リーグ1部でそれぞれ戦っているのだ。そして今回の天皇杯においては、「ほぼ」1軍のメンバーで来ていることから、ソニー仙台にとり、未知なる相手と戦うような感じであったのだ。

_8108510
※この写真のみたつのフィールドのものです

 社会人 vs 大学の戦いと言えば、学生が社会人の胸を借りるという図式が定番だったが、ここ数年はそんな図式があてはまらないほど、大学のレベルは向上している。そんな進化する大学サッカー界をリードするのが、この流経大と言えるだろう。Jクラブすら羨望の眼差しで見る施設を持ち、数多くのJリーガーを輩出していることでもよく知られている。練習試合といえ、日本代表に勝ってしまう実力を兼ね備え、さらには部活動という枠を越えて地域活動にも力を入れており、スポーツを通じての人間育成にも力を入れているのだ。

 J発足当時は冬の時代を迎えていた大学サッカー界だが、近年は価値観が見直され、社会人以上の力を持つチームが増えつつある。そしてこの天皇杯においても、大学チームが社会人やJクラブを破ることも珍しくはなくなっていた。そんな状況の中でソニー仙台は前回、2回戦で明治大学に敗れてJリーグと対戦できる3回戦に進めなかった。だからこそ、流経大との試合は絶対に負けられない戦いと位置づけていた。また流経大にとっても、今季のリーグ戦でソニー仙台には敗れており、きっちり勝ってJリーグとの真剣勝負に進みたいところだった。

Img_5131

 4月5日以来の対戦となったこのカード(1-3でソニーの勝利)。流経大のメンバーは予想どおりJFLとは違うものであり、ソニー仙台が流経の1軍相手にどう戦うか注目されたが、ソニーの左サイド・麻生耕平を起点とした攻撃が冴え渡り流経大を圧倒する。思わぬ苦戦となった流経大だが、相手以外にも敵が存在した。それはこの日の会場となった笠松公園競技場のピッチ状態だった。芝が剥げ、土が露出した荒れたピッチに、普段のパスサッカーを展開できない流経大。そんな相手を横目に、普段通りの速いサイド展開を繰り広げるソニーが完全に試合の流れを掴む。

_9208951

 スピードのある麻生の突破に、高野和隆、本多進司のベテラン2トップが抜群の動きを見せ、試合の自分たちのものにする。ピッチ状態が良くなくとも、それに対応してゲームを作るソニーはまさに「大人のサッカー」だった。しかし流経大は思い通りにならないことから、自分たちで流れを悪くしてしまい、正反対の「子供のサッカー」を展開していた。そんな中で前半18分、本多の突破からチャンスを掴み、折り返しを高野が冷静に決めソニーが先制点を奪い、理想的なゲームを展開する。そんなソニーに対して、流経大は自分で自分の首を絞めるような試合をしてしまったと言えるだろう。

02takano

 後から3バックにした流経大だが、開始直後のマークが定まらない時間帯に、カウンターから2点目を奪われてしまう。致命的な失点を喫した流経大だが、これで吹っ切れたのか積極的な姿勢が見られるようになる。徐々に流れを奪い返す中で、運も流経大に味方する。後半16分、左サイドの宇賀神友弥があげたクロスが、そのまま決まるラッキーなゴールが生まれ1点差に詰め寄る。この1点で攻勢を強める流経大だが、谷池洋平を中心としたソニーの堅守の前に、あと1点が奪えない。そして残り時間はロスタイムだけとなったときに、船山貴之が起死回生のゴールを奪い、土壇場で追いつき延長戦に突入した。

Img_5191

 本来、追いついた流経大の方が精神的に優位なはずだが、そうはいかなかった。最後まで集中を切らさず、持ち味である速い展開からサイド攻撃を続けていたソニーが3点目を延長前半に奪い、試合を決定づけたのである。やはりこの日の流経大は、どこか余裕を感じられなかった。同点ゴールを奪った船山も、延長で2回の警告を受け退場処分となり、最後までちぐはぐな展開に終始してしまった。どんなに能力の高い選手が集まったチームでも、我を忘れて「子供のサッカー」をしてしまえば勝てるはずもない。流経大にとって手痛い敗戦となったが、メンタルの大切さを知る貴重な機会となったはずであろう。

03funayama

 勝利したソニー仙台だが、今季から監督に就任した田端氏のもと、3年でHonda FCのような、アマチュア最強チームにするという目標を立てているのだ。田端監督は現役引退後、サッカー部から一度は離れ、社業に専念していた時期もあった。この間、普通のサラリーマンとして働いた時間の中で、「サッカーができるありがたさ」、「企業人とスポーツの在り方」ということを考えることができたと語っている。だからこそ彼が監督に復帰した時に、「ソニー」というブランド名を汚さないように、目標とプライドを持ったチームに生まれ変えようと、意識改革からスタートしたのだった。

Img_5338

 選手たちに明確な目標・目的を与えることで、言い方は悪いがこれまでの「なんとなく」のサッカーから、やる気に満ちた魅力的なサッカーに生まれ変わろうとしている。そして今季のJFLでは現在9位ではあるが、その攻撃的スタイルの形は徐々にできつつある。だからこそ、天皇杯でJクラブと対戦することも、大事な目標の一つであったのだ。格上のJクラブと真剣勝負することで、チームの知名度を高め、さらに自分たちの力を知ることができるからである。さて次の3回戦はセレッソ大阪戦となるが、目標である「3年後」に繋がるような実りある戦いであることを心から願いたい。

Img_5333

« 天皇杯1回戦  阪南大学 VS FC岐阜SECOND | トップページ | 天皇杯3回戦 ザスパ草津 vs 徳島ヴォルティス・セカンド »

天皇杯」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/42574761

この記事へのトラックバック一覧です: 天皇杯2回戦 流通経済大学 vs ソニー仙台:

« 天皇杯1回戦  阪南大学 VS FC岐阜SECOND | トップページ | 天皇杯3回戦 ザスパ草津 vs 徳島ヴォルティス・セカンド »