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2008年8月14日 (木)

高校チャンピオンのその後〜偉大なる先輩を超えるために戦う流経柏〜

〜その1:進化するタレントたち〜

◆それぞれの進路
 大前元紀、上條宏晃、村瀬勇太、田口泰士、中里崇宏、秋山心、比嘉祐介、須藤亮太といったこの年代を代表するタレントを揃え、夏のインターハイこそ3位で終わったが、全日本ユース、そして冬の選手権の2冠を達成した千葉県の流通経済大学付属柏高校。このチームの主力だった3年生は新しい道に進むこととなり、清水エスパルスに入団した大前を除いた大半の3年生が、流通経済大学に進学。そして新チームは、冬の選手権でも活躍した田口と久場光に託されることとなった。

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◆重苦しいスタート
 実はこの冬の選手権の裏側で、千葉県の高校サッカー新人戦が行われていたことをご存じだっただろうか? そして選手権決勝から5日しか経っていない、1月19日に新チームはベスト8を戦うこととなった。まだ選手権優勝の余韻が残っているだけではなく、新チームの形すら出来ていないまま、この大会に突入した流経大柏は、無名と言える木更津総合高校に0-1で敗れ去ってしまった。大本命と言われながらも、きっちりと結果を出した3年生に対して、いくら準備期間が短かったとは言え、チャンピオンチームがあっさりと敗退してしまい、前途多難な雰囲気も漂うのだった。

◆本当のスタートライン
 「選手権王者」という、大きすぎる看板を背負ってしまった新チーム。偉大すぎた1年先輩のチームに比べ、どうしても小粒感が拭えず、確固たる方向性もなかなか見いだせなかった。そんなチーム状態であったが、3月中旬にアメリカのダラスに遠征し、さらにいくつかの招待試合(大会)を経験することで、選手の個性や自主性が徐々に芽を出すこととなる。これまでの田口、久場だけのチームから、本当の意味での「新チーム」として機能しだし、やっとスタートラインに立つことが出来た……という印象を受けるのだった。

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◆安定感のない試合が続く
 遠征や試合をこなすことで、やっと手応えを感じてきていた本田裕一郎監督。2月、3月の時点では今年はどうなることやら……と心配させたが、JFAプリンスリーグU-18 関東2008の開幕には、戦えるチームに仕上げてくる点は、さすが名将といったところだろう。開幕戦となった4月6日の桐蔭学園戦では5-0という幸先の良いスタートを切り、今年も突っ走るのか? と思わせた。しかしその後は、一定のパフォーマンスを保てない不安定な時期が続く。内容的には反省点の目立つ試合が多かったものの、結果的に4勝2敗と勝ち星先行で進み、5月11日には今季のユース年代ナンバーワンの呼び声が高い、浦和レッズユースとの対戦を迎えた。

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◆名将の賭けと選手の踏ん張り
 ここで、本田監督は一つの賭けに出る。これまでに公式戦で試したことない、センターバックの組み合わせで、どこまで浦和の攻撃を耐えられるか、大一番とも言える大事な試合で、大胆にも選手の可能性を試すのだった。試合は本田監督の予想通り、浦和ユースの高い個人技によりペースを奪われ、両サイドのスペースを有効に使った攻撃に晒されて、一方的な試合展開となっていた。それでも最後まで体を張ったディフェンスで浦和の猛攻をシャットアウトすることに成功し、この試合をドローで終えることに成功したのだった。

◆「夏までには……」
 試合後の本田監督は、「本当は久場と田口をセットにして、前で使いたいのだが、田口を中盤から外してしまうとバランスが崩れてしまうんだよなあ…」と語っていた。やはり監督は、今年のチームのネックを中盤と考えていた。昨年度のチームは、キャプテンの名雪をはじめ、村瀬、中里、田口、小島など豊富なタレントを擁していたが、今年はそうはいかない。この日、ディフェンスラインには、大きな手応えを感じていたが、中盤構成については依然、悩みの種であった。しかし帰り際には、「夏場までには一皮むけたチームをお見せできますよ…」と頼もしいコメントも残してくれた。

 さて、田口や久場といった新3年生が成長を見せる中で、卒業していった選手たちの動向にも注目したい。

◆プロの壁を乗り越える大前
 清水エスパルスに進路を求めた大前は、2月12日の蔚山現代との練習試合で早くもプロ初ゴールをあげたが、公式戦出場の壁は高く、なかなか出場機会を掴めなかった。しかし、5月25日のナビスコカップ・ジュビロ磐田戦で途中出場ながらプロデビューを飾り、7月5日のコンサドーレ札幌戦で待望のリーグデビューも遂に果たしたのだった。プロデビューの裏には、高校とプロのフィジカルの違い、スピードの違いを克服し、FWというポジションだけではなく、サイドアタッカー、セカンドトップとこれまでとは違う役割を経験することで、確実にプレーの幅を広げてきている大前の姿があった。

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◆驚くべきスーパールーキーたち
 そんな大前と同期生の大半は、流通経済大学に進学していた。中でも中里、村瀬、比嘉の3名は入部して即、JFLチーム(※)において不動のレギュラーに抜擢される。さらに中里、村瀬はU-19日本代表候補に招集されるなど、プロに進路を求めた大前に負けず劣らずの成長を見せている。また、冬の選手権では控えに甘んじていた小島聖矢は、大学の中野監督の目にとまり、急成長を遂げており、サイドバックとして地位を確立していた比嘉は、大平コーチがその才能に惚れ込み、センターバックという新しい役割を与え、その起用に対して見事に応えるなど、多くの選手がチームで才能を伸ばしつつある。

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<後編に続きます>

※流通経済大学は関東大学リーグに出場するトップチームを頂点として、二軍のJFLチームがあり、三軍にあたる「クラブドラゴンズ」は、関東サッカーリーグ一部に所属して、それぞれのチームを構成し実戦の機会を豊富に作り出して選手の育成に励んでいる。また、三軍以下も茨城県リーグなど多彩なカテゴリーに所属して、どの選手にも平等に出場機会を与え、常に選手の入れ替えを頻繁に行いチームの活性化と、個々のレベルアップを図っている。

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